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032:そしてクラスは我が手中に

 セフィルと語り合った翌日のこと。

 効率厨向けの授業も一段落し、休み時間が始まった。


「あの、クリスくん……?」


 これはこれはウチの父にベタ惚れの女生徒さん(名前覚えてません)。


「クリスくんと一緒に留学してきた方、なかなか凄いですわね……」


 やっぱり他属性クラスの情報も回ってくるんだなぁ。


「言葉責めだけでスクールカースト上位を泣かせたこと? それとも、デッドリーアイズドラゴンの呼び名の方?」


 俺の発言に「ええっ!?」みたいな反応の女生徒さん。

 もしかして、他にも呼び名があったのだろうか……?


「留学二日目でクラスの頂点に君臨する男子生徒を撃破したと噂が……」


 俺は全力ダッシュで聖属性クラスに向かった!



「クレアっ!!」


 バンッ!と教室のドアを勢いよく開けた俺に目に映ったのは、教室の隅でシクシク泣く男子生徒と、女子クラスメイト達をはべらせながら、口から魂が抜けかけているクレアの姿。


「どうして…こんなことに…私は…いったい…」


 何をどうすればこんな状況になるんだ!?


 昨日セフィルから聞いた話とは状況が変わっているみたいだけど…。


「ちょっとアナタ!」


 ハーレムの中の一人が俺を指差す。


「へ? 俺??」


「クレアお姉様を呼び捨てだなんて、いい度胸してるわね!」

「お、お姉様!?」


 クレアの方を見ると、目を逸らされた。

 これはアレだ「私を見ないでっ……!」ってヤツだな。


「いつの間にか大人の階段を登ってしまったんだね」


「わ、私の望んでる大人扱いは…こういうのじゃないの…シクシク…」


「この男! お姉様を泣かしたわ!!」


「ちょっと! アナタはお姉様の何なのよ!!」


 睨む女生徒集団、涙目で俺を見つめるクレア。

 この選択肢を誤ると……俺は死ぬっ!!



「…………将来を誓い合った仲です」



 俺は、人格全否定の罵詈雑言とマシンガンのように降り注ぐホーリーライトを背に、脱兎のごとく逃げ出した!



「うはははは! お前もなかなかやるなぁ!」


 放課後にセフィルと合流した俺は、聖属性クラスでの経緯いきさつを説明した。


「笑い事じゃねーよ…。後ろから大量に飛んでくるホーリーライトとか、生きた心地がしねーよ…」


「クリスのはまだマシだろ。俺なんてロザリィから地面をえぐるほどの一発を撃たれたんだからな?」


 男子二人が、ハァ…とため息をつく。



『何、陰気くさい顔してんのよ?』



 見上げるとロザリィが腕を組んで俺たちを見下ろしていた。


「デッドリーアイズドラゴン様!」

「お前を…殺す…」


 俺のジョークにクレアの目がマジギレしていて、マジで怖い!


「冗談だよ冗談! で、どうしてあんな状況になってんだよ」


 ジト目で見る俺に対し、手をバタバタ振りながら焦るロザリィ。


「やっぱりお前が犯人か!!」


『だってぇぇ! あの男、クラス女子でハーレム作ってただけでもムカつくのに、昨日私に負けた子に対して、君のような弱者にはボクの隣に居る資格は無いよ…フッ、とか言いやがったのよ! もうその子、大泣きよ! 確かに、私に刃向かうその子も悪いんだけど、いくらなんでも酷すぎない!? だから…』


「それで女子達の前で、その男子生徒をボコったのか…」


 ロザリィは気まずそうな顔をしながら頭を縦に振る。


『でも、全力のホーリーライトを撃ち込んだとか、そんな危害を加えたわけじゃないのよ? 単にホーリーシールドを張ったままゆっくり近づいて、這いつくばる男を教室の角に追い込んでやっただけで…』


 そっちの方が怖えぇ!


『んで、ムカつく男をやっつけて、あの女共に言ってやったのよ。これでアンタたちは自由よ…もう何も縛るものは無いわ…って!』


 留学初日にスクールカーストのトップを倒し、翌日にその子を泣かした元凶を撃破。

 その上で解放宣言とか、もう狙ってやってるとしか思えない。


「こうなるに決まってんだろうが!!」

「うわーーーーーんっ!」


 ロザリィのせいとはいえ、クレアも災難だったなぁ……。


「気を取り直して情報収集と行きたいところだが…たぶんクレアはしばらく注目されすぎて使い物にならないだろうな…」


 セフィルの言葉に、ガーン…と言いながらうなだれるクレア。

 確かに、情報収集の最中に注目されるのは望ましくないし、もしもクレアと一緒に居るところを聖属性クラスの女子たちに目撃されようものなら、城内でも問答無用で襲われそうな気がする……。


「しばらくは俺一人で探るから、クレアとセフィルは適当にやっといてくれ」


 我ながらずいぶんアバウトの指示だが、まあこの二人なら文字通り適当にやってくれるだろう。


「はぅー…」


 クレアがちょっと寂しそうに溜め息を吐いた。

 きっと今頃は頭の中でロザリィがクレアに平謝りでもしてるのだろうか。



 次の日は予定通り城内を独りで行動していたところ、父がバタバタと走って行く姿が見えた。

 この城に来てからずっと父は別棟で寝泊まりしているので、ほとんど話す機会が無かったりする。


 セフィルが父に何か指示をしているようには見えないけど、何をしているのだろうか?

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