145:そして最後の戦いへ
<世界樹 第三層>
気づいたら雲の上に立っていた。
いや、雲の上に敷かれたガラス板の上に居た。
「ここは一体……」
呆然と呟くノーブさんの横で、カレンさんが不安そうに遠くを見つめている。
俺はふと隣を見ると、クレアが……居ない。
何だかとても嫌な予感がしながらも、俺は大きな声で名前を呼んだ。
「クレアーッ!!」
だが返事はない。
世界樹の声に従って一緒に飛んだ時は手を握っていたのに、何故……。
そんな疑問が脳裏を過ったその時、近くではもう一人の男が呆然と立ちすくんでいた。
「マジかよ……」
コイツは魔王タケル。
さっきまで恐らく世界樹の中で何かやっていたのだと思うが、魔王の目の前にはファンタジー世界に不釣り合いすぎるSFチックな透過型スクリーンがプカプカと浮いていた。
魔王の周りにはその仲間たちも集まっており、その中にはロロウナやアンジュの姿もある。
だが、ふと魔王の目の前に浮かぶスクリーンに書かれていたメッセージを見た瞬間、俺は絶句した。
【Flag No.61 悪意との遭遇 CLEAR】
この『Flag』が何を意味するのかは分からないが、ひとつだけ言えるコトがある。
「悪意……」
魔王は"悪意"と遭遇した。
つまり、ここにすべての元凶が居るのだ。
多くの人々の命を奪った"悪意"が、今この場に!
俺は魔王とその仲間たちの視線の先に目をやって、思わず息を飲んだ。
そこには、全ての黒幕とされたネブラの姿が……無かった。
むしろ、当のネブラ本人は魔王タケルの仲間であるエルフのおねーさんに捕らえられて、ロープに縛られたまま呆然と同じ方向を眺めていた。
その先に居たのは……
「クレア!!!」
俺の呼びかけに、目の前の少女は嬉しそうに微笑んだ。
最終回の前に下記タイトルをご覧ください。
異世界を救うためブラック企業の営業マンとホワイトハッカーは最後の戦いに挑む!
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