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117:新しい仲間とともに

 ワルケリアナを元の世界に帰す為に世界樹を目指す旅に出るコトになってしまった俺たちだったが、先にやっておくべきことがある。


「なんと、そなたは神では無かったと申すか……」


 ワラント国王は驚愕し、それからガクリとうなだれた。

 ……そう、ワルケリアナが獣神ティーダとは何の関係もない、単なる渡り人であると説明しなければならないのだ。


「王様ごめんよ。あたしがもっと早く言えば良かったのに、大事おおごとになっちまって……」


 ワルケリアナの言葉に、国王は首を横に振った。


「何を申すか、元はと言えば我らの早とちりが原因。そなたも、見知らぬ地に独り迷い込んで不安であっただろう? 大変申し訳ない……」


 そう言って深々と頭を下げる国王に、ワルケリアナはアワアワと慌てた。


「国民は寂しがるであろうが、獣神は再び天に戻ったと伝え……」



「その必要は無いわ」



 国王の言葉を遮るようにカレンさんが口を開いた。


「まったく、泣いた子供をあやす時の言い方といい腰の低さといい、アンタは曾祖父ひいじいちゃんソックリね。昔を思い出して泣きそうになっちゃったじゃないの」


 カレンさんはゆっくり立ち上がり、壁面に飾られた歴代国王の肖像画を眺めて笑った。

 それを見てワラント国王は目を見開いた。


「ま、まさか……っ!!?」


「次からはコレ持ってるかどうか確認するように後世に伝えときなさいね」


 そう言って、古ぼけたアミュレットを掲げるカレンさんの姿に、俺たち一同は思わず苦笑い。

 ノーブさんが小声で「うっかり無くして大騒ぎする未来しか見えねえ」とぼやいていたけど、俺もそう思います。


「???」


 この一連の流れに、ドアを蹴っ飛ばされた時と同じくらいワルケリアナの目が白黒していた。

 ……あっ! そうか!!


「カレンさん! 俺らワルケリアナから事情を聞いただけで、カレンさんのコトを何も説明してないよっ!」


「あっ! うっかり忘れてたわ……」


 ダメだこの人。

 俺たちがジト目で見ていると、カレンさんはコホンッとわざとらしく咳払いで誤魔化した。


「改めて名乗るけど……我が名は獣神ティーダ。この国で崇拝されている神であり、貴女ががっつり飲んでくれやがった超旨い酒の所有者よ」


「おおおおおおいっ! 最後で素に戻ってるじゃねえか!!!」


 さすがにノーブさんも我慢出来なかったらしく、見事なツッコミが入った。



◇◇



「今後ともヨロシク!」


 何だか言い方がメガテンの悪魔みたいだな~……というわけで、ワルケリアナが仲間に加わった。


 カレンさんとノーブさんは、獣神ティーダとその付き人としてワラント国への長期滞在することが決定したため、俺たちの臨時パーティはこれにて解散。

 ちなみに、カレンさんは長期滞在の条件として「神都ポートリアにある可憐店かれんていのテナント家賃の立て替え払い」をワラント国に要求し、ワラントの使者が先ほど神都ポートリアの大家さんのところへ支払いのために旅立った。

 まさかの条件にさすがのワラント国王も呆れていたが、自国の崇拝する神から直々にお願いされたのだから仕方ない。


 まあ、そんなこんなで俺たちは新メンバーと共に南の海を越えて旅を継続することになったわけだが……


『うーん』


「どうしたのロザリィちゃん?」


 エマの問いかけに対し、ロザリィはくるりと振り返りワルケリアナをビシッと指差した。


『アンタ!』


「えっ、何だいっ?」


『名前が長ったらしくて覚えにくいわっ!』


 ……ついに言ってしまった。


「はい?」


『パルケエスパ○ニャだか何だか知らないけど、名前が長ったらしくて呼びづらいのよ!』


 関係各所から怒られそうな発言はやめて!


「そういう名前なんだから仕方ないじゃないかっ! み、皆はそんなコト思ってないよねっ!?」


 ………。 ………。 ………。


「どうして全員無言で目をそらすんだよ!!」


 それは皆、心はひとつだからさ。

 何とも言えない微妙な空気の中、ついにクレアが口を開いた。


「ワルケリアナの、ニックネームを決めよう大会~、ぱふぱふー」


「ええーーっ!?」


 クレアの唐突な思いつきのせいで、ケモミミ娘っ子ワルケリアナの愛称を付けることになってしまった。


 うーん、どうしたものか……。

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