#3
家に帰ると夕飯の準備だけすまて、時計を見ればまだ昼過ぎだ。
あの職場で働いていたときのことを思い出すと、昼休憩が終わって眠気と戦い始めながら三時の休憩はまだかまだかと時計を気にしている頃だった。
ご飯の用意はできているし、お風呂もご飯を食べている間に準備すれば全然問題ない。洗濯物も今日の予報は一日中晴れマークで雨が降る可能性もないから多少干しっぱなしにしていても問題はないだろう。
私はとりあえずアプリを確認した。
平日のこの時間、学生が多い私の『トモダチ』は今頃授業中なんだろう。
いつもはいろんな言葉が流れるようにどんどん投稿されて賑わっているアプリ内の広場も静かだった。
ルコからのメッセージもまだ届いていないことを確認して私はゲームの世界へと向かった。
ここ最近はずっと深夜に来ていたので昼間の世界は本当に数年ぶりだった。
しかしそれでもいつ行っても熱気に包まれていたあの大きなステージの周辺には誰もいない。
この世界の静けさの意味を今日ようやく理解して、理解してしまえばこの世界に対しての不気味さから来た恐怖というのは自分の中で消え去っていた。
同時にこみあげてくる犯人に対しての怒り。
私は普段抱くことがあまりなかったその感情を胸に抱きながら、とりあえずいつもの喫茶店へと向かった。
しかし、やはり準備中の文字が浮かび上がっていた。
日付が変わって少ししたくらいの時間からが活動時間なのだろう。
そして今度はあの『プラネット』と呼ばれたカフェへと向かった。
恐る恐る扉を引いてみれば簡単に開いてカランカランと鈴の音が響く。
その音を聞いてホッとした。
正直暗証番号なんて見ていなかったし、教えてもらってもいなかったから、もし開かなかったら私はこの世界を宛もなくふらふらと歩き回ることになっていたんだ。




