青天の霹靂1
「おうっドラ息子 店を継げ」
携帯から聴こえる重低音の声
昨日出前中にバイクで転がって
見舞いしたばかりの父親の声である
「…何をいきなり言ってるんだよ。昨日何もそんな事話しなかっただろ」
言い切る前に
「俺は旅に出るから店は任せる」
そう告げられ電話は切れた
…おいおい
足の骨折はどうしたんだ
全治3ヶ月の足してて旅に出るだと
リダイアルで携帯をかけ直しても
電話に出やがらねえ
言い出したら主張を曲げない
頑固親父だが
これはないだろ
親父の入院先に行って
文句の一つでも言ってやる
そう考えて昨日も顔を出した病院に行きつき
病室を覗いてみると…
親父が居ねえ
何でも親父は退院すると騒ぎだして
無理矢理松葉杖を付きながら
出て行ったらしい
無茶苦茶にも程があるだろ…
病院ー実家ーお店の順でようやく親父を見つけたのである
だが親父は松葉杖を付いてなかった
それどころか昨日見たギブスさえも外している
「ギブスはどうしたんだよ」
まだ骨折れたまんまだろうに
取り敢えず聞いてみる
「客から貰ったエリクサーで完治した」
事も無げに返事が戻ってくる
「エリクサー?いやいや全治3ヶ月が1日で治るわけないだろ
なんだ そのエリクサーって怪しい宗教か何かに騙されてるんじゃないのか
大体店を継げとか旅に出るとか意味不明過ぎるだろ」
一気に捲し立てた
「新妻が悪漢に拐われたんだ 探しあてる為に旅に出て何が悪い?」
はいっ?
俺の母親は俺が
中学の時に
交通事故で亡くなってる
もう10年も前の話だ
五十路の親父が新妻て…
「あっ俺1週間前に再婚したから」
なんですとーーーーーーーーーーーーーーー?
もう吃驚仰天だ
こんな時にはどう心を落ち着かせばいいのか
もう店継ぎ問題云々よりも
骨折よりも義母(新妻)や 何やらで
俺の頭の中は真っ白な状態である