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前世と今世について

夢を見ていた。

とてもとても不思議な夢を。


空には鉄でできた鳥が飛び、黒い大地にはこれまた鉄でできた馬車が走る不思議な夢。


箱の中で人が動き、話す。そんな世界の夢を。


その世界は私の前世だった。



私、リーンネット・ハルスタッドはその世界では箱の中の登場人物で、箱の中で紡がれるその物語は『かげろう狂詩曲ラプソディー~蝶は檻の中~』。

前世では乙女ゲームと呼ばれていたもの。




目が覚めた時、私は泣き出してしまった。

悪いことをしたわけでもないのに悪役に仕立てあげられた私。

冤罪で糾弾され、断罪される私。

それが私の未来かと思うと、泣かずにいられなかった。


「お嬢様。如何なさいました?!」


泣いている私の第一発見者は私付きの侍女キャット。

私を起こしに来た4歳歳上の彼女はギャン泣きしている私に気付くと大慌てで近寄って来て、清潔なハンカチで私の涙を拭ってくれる。


「・・・」


「何か怖い夢でもご覧になったのですか?」


私は首を横に振る。


前世の記憶やら、自分が乙女ゲームの登場人物だということを、どう説明していいのかわからない。


「誰か不審者がいたのですか?」


私は首を横に振る。


不審なのは私だ。

前世の記憶なんかを思い出してしまった私の頭がおかしい。


「何が遭ったのですか、お嬢様? さあ、このキャットにお話下さい」

「・・・」


私は何も言えずにただ、泣き続けた。


前世や今世のことをそう簡単には受け入れられなかった。

いくらwebだー! 書籍だー!と流行になっていても、いきなり自分が悪役になる立場だとわかって受け入れられる筈がない。

なんかの間違いだとはじめは思った。


泣いて、泣いて、泣き暮れて数日。

心配する家族を他所に泣き続けた。




そうして、今世の自分=リーンネット・ハルスタッドを受け入れた。




私には前世の記憶というアドバンテージがある。

まずは婚約を回避すればいいのだと、前向きになった。

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