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短編集

自分を変える!!

作者: 山石 悠

童話祭に出しています。


読んでいただければ幸いです。

この世界にあるのかも分からないとある森。ここは、大昔にとある時を司る大精霊様によって造られた森です。そして、そこにはたくさんの妖精さんたちが暮らしていました。みんな毎日、一緒に遊んだり、森の環境を良くするために働いたり、と毎日忙しくしています。


しかし、その森の中に一人だけ不真面目で、いつもぐうたらして、誰とも遊ばないし働かない、そんな妖精がいました。みんな彼のことをぐうたらなのでぐう介と呼んでいました。


ぐう介の1日はお昼から始まります。彼はこんな遅い時間に起きて、お昼御飯と同じくらいの時間に朝ご飯を食べます。今日のお昼…じゃなくて朝ご飯はポテチ。ご飯もお肉もお魚も食べません。ましてや野菜なんてとんでもない、全然食べないのです。


それで、ポテチを食べた彼はゴロゴロと寝転がります。運動なんて、全然しません。誰ともお外で遊ばないし、お仕事だって何にもしません。


そうやって暮らしててきたある日。その日は妖精さんたちのお祭りです。ですが、ぐう介はそれに行くのもめんどくさがったので、家でごろごろしています。ぐう介はいつだって一人でいたので、みんながお祭りを楽しんでいることなんて全く苦ではありませんでした。だから、いつもと同じようにぐうたらしていました。



ところ変わってお祭りの会場。ここでは、妖精さんたちが楽しく屋台で遊んだり、おいしいものを食べたりして、一緒になって踊ったりとわいわい騒いでいました。みんなとっても楽しそうで見ていたらこっちまで楽しくなりそうになるほどでした。


そうして、お祭り最後のイベントであるフェアリーファイヤです。みんな火がつくのをドキドキしながら見守っていました。そして、ようやく火がつこうとしたその時。火をつけようとしていた妖精さんが火を落っことしてしまいました。そしてその火は、あっという間に燃え広がり森が火事になってしまいました。妖精さんたちは大慌てで火を消そうとしましたが、もう消せるような大きさではありません。妖精さんたちはみんな森の外へと逃げて行きました。……ただ一人、このことを知らないぐう介以外は。



ぐう介は、なんだか外が熱くなってきているのに気がつきました。彼は外へと出て行きました。


「うわっ! なんだよこれは! 火事じゃないか。は、はやく逃げないと」


ぐう介は走り出しました。ですが火の勢いは早くてぐう介のろくに運動をしていない体では逃げ切れませんでした。そして、ついに彼は火に囲まれて逃げられなくなりました。


「くそっ! どうしてこうなったんだ! なんで逃げられないんだ! ……そうか、俺がいつも運動してないからこうなったんだ。自分の日々の行いのせいでこうなったのか」


ぐう介は、自分の今までの生活を振り返って、自分の生活の悪さに涙が出そうになりました。


「もしも、もう一度やり直せるのなら、こんなことが起きないようにするんだけどな……。無理だよな、時間を巻き戻すなんてことできやしないんだから。俺は、後悔して死んでいくんだな……」

「……て」

「え?」


ぐう介が諦めていたその時、どこからか声が聞こえてきました。ぐう介は遠のいていきそうな意識を必死に保って、声に耳をすませました。


「……けて」

「聴こえない!!」

「助けて!!」

「……無理だ。それこそ、時間を巻き戻さないと」


ぐう介はどこからか聞こえてきた「助けて」という声にそう返しました。すると、その声はこう返しました。


「巻き戻せば、助けてくれる?」

「無理だよ。時間を巻き戻すなんて」

「巻き戻せば、助けてくれる?」


声はぐう介が無理だといってもそう訊いてきます。ぐう介は諦めて言い返しました。


「分かったよ!! 助けてやるから、巻き戻せるなら巻き戻、して、み、ろ……」


ぐう介は、そう言って煙に囲まれて意識を失いました。火はぐう介を包もうとしました。しかし、いきなりぐう介の体が光り出し、ぐう介は消えてしまったのです。その時、あの声が聴こえてきました。「僕を、森を助けて……」と。



「はっ! ここはどこだ? 俺はさっき火事で……」


ぐう介は目を覚ましました。彼は、あたりを見回してみるとそこは自分の家でした。


「どうして。怪我もしてないし、そもそも死んでないのがおかしい。ここはあの世なのか?」


ぐう介は部屋中を見てあることに気が付きました。


「か、カレンダーが1か月前に戻ってる! どういうことだ?……あ! もしかして、俺は本当にやり直すチャンスを手に入れたのか?」


ぐう介はとても驚き、そして喜びました。彼は、もうあんな死に方をしないようにするために彼は頑張ると決心しました。


まずはじめにお菓子をみんな片づけて、部屋中の掃除をしました。1日中頑張ると彼の家は見違えるようにきれいになりました。それだけではなくて、ぐう介の心の中もすっきりしましたし、体も感じたことのないような気持ちよさを感じました。その日は、お風呂に入っていつもよりも早く寝ました。


次の日、ぐう介は朝の6時に起きました。彼は、すぐに着替えてランニングを始めました。……が、今まで運動してこなかったぐう介は、あまり走れずウォーキングになってしまいました。


「ふぅ~。走れはしないが歩くだけでも気分がよくなるな。これから毎日頑張ってみるか」

「ふんふん、ふふん……。あ、ぐう介だ。おっはーぐう介! ………って、ええーー!! ぐ、ぐう介、どうしてこんな時間に外にいるんだい!? これは夢か幻なのか!?」

「安心しろ、現実だ。俺は心を入れ替えたんだ。これは楽しいからこれからも来るぞ」


ぐう介のもとに来たのは彼の数少ない友人のそう太でした。彼はとっても外が好きでいつもあっちこっち走り回っていたのでそう太とよばれていました。


「そうか、ぐう介はようやく走ることの面白さに気が付いたんだね。任せて、僕が最速のスプリンターにしてあげるから」

「え?いや、まだ走るほどの体力とか無いし……」

「大丈夫さ。この僕にかかれば、1か月もないうちにぐう介をこの森一番にしてあげられる。ぐう介にはさ、才能があるんだよ」


そうかなと思いつつ、ぐう介は考えました。そして最速とかは別として、走れるようになるなら任せるべきかなと。


「じゃあ、よろしく。俺を走れるようにしてくれ」

「任せなって。それじゃあ、まずはウォーキングでだんだん早くしたり、長くしたりしていこうか」


そう太の決めたメニューで特訓が始まりました。初めは、歩くだけだったぐう介は少しずつ走れるようになってきました。そして、そんなぐう介の頑張りは森中のみんなに広がっていきました。


「なあ、ぐう介のこと知ってる?」

「ああ、心入れ替えて体動かすようになったんだろ」


「ねえねえ、ぐう介見た?」

「見たよ。っていうか話したよ。荷物を持ってたら「代わるよ」って言って持って行った時ね、ちょっとどきっとしちゃった」

「ええー、ほんとに―?」

「ほんとだってば、一回見てごらんよ」


ぐう介は少しずつですが、みんなと仲良くなっていくこともできたのです。


そして、とうとうお祭りの日がやってきました。今回はぐう介も来て、皆と一緒にお祭りを楽しみました。そうしているうちにお祭りの最後のイベントのフェアリーファイヤーの時間になりました。この時にぐう介は気が付きました。このフェアリーファイヤが火事の原因だったのではないかと。


気が付いたぐう介は少し警戒して火がつくのを待っていました。そして、火をつける役の妖精さんがのぼり火をつけようとしました。が、あの時のように火を落としてしまったのです。


皆があわてる中誰かが落ちた火のほうへ走っていきます。誰かと思えば、それはぐう介でした。ぐう介はものすごいスピードで火のほうへ走り、ジャンプ! 間一髪で火をキャッチして火事になるのを防ぎました。皆がぐう介のほうへ行ってすごかったと、彼をほめたたえます。ぐう介はとっても嬉しくなりました。


それから、お祭りは無事に終了しました。ぐう介は、それが終わってからずっと気になっていたことがありました。それは、あの、家事に巻き込まれて死んでしまいそうになった時に聞こえた声です。あの声は誰だったのか、どうやって時間を撒き戻したのか。それは、ぐう介には分かりません。答えは声の主だけが知っています。


それからのことですが、ぐう介は森で一番といわれるくらいの働き者で人気者になって、楽しく幸せに暮らしたそうです。

読んでいただきありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 誤字脱字がいくつか目につきました。この長さにしては多かったように思いますので、一度読みなおしてみてはいかがでしょうか。 作品に込められたメッセージはとても分かりやすく読者にストレートに伝わる…
[良い点] 良く聞くどこにでもありそうな物語。だが、それがいい。 [一言] 文章があっさりしてますが作者が言いたいことや話の作りがしっかりしていて童話ということを考えると良い作品だと僕は思います。 …
2013/02/06 22:42 退会済み
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