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X'mas fire  作者: もち武者
9/9

・voice

「HEY、連中はみんな片付けた。

もう大丈・痛っ!」


肩に触れた手が思いっきり叩かれた。

その痛みから伝わる明確な拒絶。


目には私の姿はなく、ただただ恐怖に濡れている。


そこに一人の少女の姿がダブる。


突然、得体の知れない黒いモノに襲われ、怖くて恐くて。

目にうつる全てがアイツら【嘘】とおんなじモノに思えて。

自分を助けてくれた人間すらも敵にしか見えなくて、力の限り暴れて泣きじゃくった、


十年前のあたし。


そのあたしを、あのサンタクロースは。シンさんは。


「うあぁ!離、離せ!うあぁ!」


抱き締めてくれた。落ち着くまで、ずっと。


どんなに暴れても殴られても罵られても。

ずっと笑顔で

「大丈夫だ、もう怖くない。」って。


「大丈夫だガキんちょ。アイツらは全部やっつけた。」

「やめっ!うわぁ!離せ!離せ!離せぇ!」


ガキんちょの拳が肩に頭に背中にあたる。心に体に鈍い痛みが広がる。


シンさん、やっぱアンタスゲーよ。こんな痛くて辛いのを、我慢してたのか、あの夜、見ず知らずのあたしの為に。

「ガキんちょ、あたしだ。サンタの姐さんだ。」「離し、離せよ!やめろ!わあぁ!」


声が届かない。体温を感じるのに距離が遠い。


ヤベ、柄にもなく泣きそうだ。


いっそう強く抱きしめる。唇を噛み締めながら。

一体どっちがすがってんだか。

情けねぇなぁ、あたし。

「うわっ・・・ひぐっ・・・えっ・・・うあぁぁぁ!」


いつの間にか、あたしを拒む手から力が抜けていた。


わめき声が泣き声に変わっている。


よっし、ここ一番のいい笑顔で、最後の仕上げだ。


「よく頑張った、もう大丈夫だ。」


シンさん、見てっか?

アンタの守った小娘は、立派にサンタをやってるぜ。


ガキんちょの頭を撫でてやる。

触れた瞬間ちょっとビクッとなったが、もう大丈夫だろう。

男の子だしな。


「うっ・・・うっ・・・お父さん・・・。」


おいおいそこは母ちゃんか姉ちゃんだろうよ。


・・・全く、締まらねぇな。笑っちまったじゃねぇか。

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