・ヘビー・クリスマス
氷のように冷たい目。
二丁の拳銃からは二筋の硝煙。
後ろで束ねた金髪が、キラキラと輝く。
「いいかベイビー。良い子だから動くなよ。あたしゃモーティマー大佐みたくうまくやれる自信はねぇ。」
何なんだ今日は。震えが止まらない。
少し焦げた臭いがする。僕のすぐそばを、何かが高い音を残して通りすぎた衝撃がビリビリと肌を揺らす。
でも。そんな事よりも。
あれは、なんだ?
「ちっ、夜の公園で男女が二人だぜ?全く、野暮な連中だぜ。」
ポケットから取り出したサングラスをかけながら、まるで狼みたいな顔で冗談を言うサンタ。
「もっかい言うぞ、動くなよ?そこで膝かかえて大人しくしてろ。」
やっぱりアレは善くないものなんだ。
見ていると何だか不安になる。
「さぁて、お仕事の時間だぜ。サンタクロースのお出まし・だ!」
ドドン
二発の銃声。ゴミ箱近くと滑り台手前のソレが、弾丸に貫かれブスブスと気味の悪い音をたてて消えていく。
黒い影。
人生ゲームの駒から手が生えたような黒い何か。
足元はまるで幽霊みたいにおぼろ気で、顔?には横まで裂けた口だけが、醜い笑顔を作っている。口からのぞく白い歯がやけに目につく。
全身が黒だから目立つのだ。
ソレがだいたい十人(匹?)ほど、僕たちを囲むようにユラユラとたたずんでいる。
「今年も盛大に食い散らかすぜ!?メリークリスマス糞ども!!」
サンタが黒いモノ目掛けて突撃する。
黒いモノはサンタを捕まえようと一斉に手を伸ばす、が。
ドン ドンドン
体をひねり、跳び跳ね、頭を振り、黒いモノの攻撃をかわしざまに銃弾を浴びせる。
あっという間に三つの黒が夜に溶けた。
「オラオラオラアァァァ!!」
ドンドンドンドンドンドンドン
まるで踊るように旋回しながら黒いモノの手をかわし弾丸を当てていく。
黒いモノがどんどん消えて。
「テメェでラストだ!」
ドン
最後に赤いケモノが残った。