世界観紹介その3~国家以外の勢力~
今回はミリアザールが属するアルネリア教会をはじめとした、国家以外の勢力。他にも小さな物はいくつかありますが、今回は主なものってことで。
○アルネリア教会
聖女アルネリアが設立したとされる宗派。本部はアルネリアという都市にあり、ここに聖女も眠るとされる。宗教として戒律が厳しいわけではなく、組織化された巨大な慈善団体という見方が強い。教会の最高権力者として、およそ15年程度をめどに聖女(最高教主)が各地の教会いずれかから認定される。その周期は不定期で、前任者が死亡した場合もあれば、単に引退した場合もある。なお組織図としては、最高教主の下に3人の大司教、6人の大司教補佐、およそ100人の司教と続く。聖女認定は大司教と大司教補佐とで選出される。その勢力範囲は大陸の東側2/3におよび、教会関係の人間を合計すると50万を超えるともいわれ、大陸最大の勢力となっている。
発端は各地を巡礼する聖女アルネリアに共感した者達の集まりであり、そこから発展して魔王討伐の補助、戦争での難民救済となった。また戦闘能力をもたない僧侶・シスター(特に女性であるシスター)は、敵だけでなく味方からも危険な目に遭うことが多く、彼らの保護団体としての機能を現在は果たしている。
もしアルネリア教会関係者に不当な暴力が働かれた場合、その関係国家および団体はいかなる状況においてもアルネリア教の援助を受けられないことを誓約させられている。その代わりアルネリア教の協力を受ける国家は飢饉や疫病、魔物討伐においてアルネリア教の援助を優先的に受けられることとなり、損よりも益の方が多いのが現状である。
泰平期における主な教会の活動は、地区教会の設立による貧民救済や、福祉施設・医療施設の充実である。また一定の教区を設け、それぞれに司祭を派遣して各地区を監督させている。
なおアルネリア教会は神殿騎士団というおよそ3万の武装組織を独自に抱え、アルネリア教会派閥の国家内であれば、その国の騎士団と同等の権力・行動を認められる。だが司祭の役目がシスター・僧侶・その他施設従事者の監督であるのに対し、神殿騎士団は魔物討伐を請け負うことが多い。また土地柄の悪い場所でのシスター・僧侶の警護に当たるために設立されたという側面もある。中には聖女と同様に、シスターと巡礼の苦行に出る者もいる。
○魔術協会
アルネリア教会よりやや若い程度の団体であるが、その前身の発足は人間の歴史とほぼ同等とされている。一説にはエルフに魔術を教わる前からその研究は勧められていたともされるが、諸説あるので定かではない。
過去においては魔王討伐のため、各国に積極的に協力していたが、黎明期に入ってからは戦争への介入を教会としては禁じた。だが魔術士の中には自分達の能力をいかんなく発揮したいと考える者も多く、そういった者達は教会を離れ、個人的に戦争に加担していった。教会はそういった者達に処罰もなく寛大であった(悪く言えば魔術士には研究者肌の人間が多く、政治色が薄くて面倒くさかった)ため、様々な分派や、個人的に魔術を研究する者が増えてしまった。
ところが魔術士ヘルハルドの禁断戦争をきっかけに、大陸中の非難が魔術士達に集中し、なかには魔女裁判や、いわれのない魔術士への迫害が行われるようになった。ここに至って事態の重大さに気がついた教会は、処罰を厳しくし、魔術士を厳しく監督することを大陸中に宣言。占星術や占いを駆使し、生まれついての魔力を持つ者を教会が引き取り一括管理することにした。
また自分から魔術協会への参加を申し出たものには恩賞を与えることとし、教会の許可なく魔術を行使して一般人に危害を出した場合は征伐されてもやむなしとの処置を取っている。
そのため一時期に比べると魔術士の活動は随分大人しくなったが、その全てを教会が監督できているわけではないことは暗黙の了解となっている。ただ征伐を行う実戦部隊の実力は相当なもので、征伐が決定されると逃れることはまず無理と言われている。そのため好んで一般人に危害を加える魔術士は表面上まず存在しない。
なお魔術協会の長の選定は5年に一回行われる魔術議長会議にて行われ、前回の議長選定から4年の間にもっとも教会の利益になる研究発表をした者が選ばれることになっている。そのため研究結果いかんでは、たとえ10歳でも教会の長となることが可能である。
さらに魔術の系統であるが、6属性による縦割りと、使用方法による横割りがある。使用方法の種別としては、精霊魔術、理魔術、召喚術、暗黒魔術などである。さらに魔術は基本一人一系統の属性であり、使用方法は後天的にいくつか学ぶことができる。なお一属性を強力に発現させた場合、元素によって髪色が変化することがあり、さらに強い者は瞳の色まで変化すると言われる。
そのため、髪色の変化は魔術士にとっては栄誉であると共に、魔術戦においては敵に知られて非常なハンデとなるため、染髪をする者が多い。中には複数系統の魔術を操る者もいるが、歴史上の最高は6系統だと言われている。
ちなみに「魔法」と「魔術」は別物とされており、「魔法」という認定が下される魔術は使用が禁忌とされ、教会に封印される。ちなみに魔法とは、その使用により歴史・土地・人物に不可逆的かつ恒久的な影響を与える魔術とされており、使用者の恣意的な影響が世界に出てしまうため、禁忌となるのである。ちなみにこれまで魔法と認定された魔術の例としては、「永続的な土地の属性変化」などがあり、これの使用によりその土地で暮らす者や育つ食物の形態が変化してしまった、などの事例が確認されている。
○オリュンパス教会
大陸西部1/3を支配する、ここ200、300年で出現した教会。アルネリア教会と異なり、オリュンパス10神といわれる神の言が教義となっており、偶像崇拝を行う。アルネリア教も信仰の祈り・懺悔の対象として聖女アルネリアの像を置いてはいるが、聖女≠神である点でオリュンパス教会とは異なる。
オリュンパス教会において、10であれば信仰する神を選ぶことは自由だが、それぞれにおいて教義・戒律はかなり厳しい。またオリュンパス教義圏において無神論は許可されず、戒律を破ったと同罪として異端扱いを受ける。なお異端に対する扱いは非常に厳しく、一度異端という決が下されると覆ることはまずなく、処分は大抵処刑である。そのため異端という決が下った者は逃げ出す者がほとんどだが、彼らには「異端審問官」という非常に厳しい追撃者が放たれ、彼らに審問されるぐらいなら火あぶりの方がマシだと言われるくらいである。
教会の運営は、10神それぞれの信仰における最高権力者同士の会議で決められ、「10権分立」ともいえる方法を取っている。なお運営内容はアルネリア教会と似たようなものだが、歴史が浅い分アルネリア教ほど徹底しておらず、また下層部では信仰する神の違いによるいがみ合いも存在するため、概して東より西の方が土地は荒れていることが多い。
○討魔協会
東の大陸に存在する協会。だがその目的は西にある各教会とは異なり、魔物のせん滅を目的とした純然たる戦闘集団である。
そもそも東の大陸は西の大陸にくらべ魔物の数・強さ共に遙かに上であり、いまだに人間の勢力圏は大陸の半分に至っていない。
東の大陸では人間が魔物の家畜同然に扱われた時期があり、魔物と人間の確執は西よりも余程強い。そのため討魔協会には魔物との融和などは頭になく、「即滅」を信条としている。
討魔協会は魔物せん滅に功を成した有力ないくつかの血統で構成されており、その中から民主主義的に代表(筆頭)を決め、何年かおきに交代することでその力の均衡を保っている。
現在の筆頭は相当に強く、任期の5年で人間の勢力図を30%増やしたと言われている。そのため筆頭になってから11年経つ今もいまだに筆頭を務めている。
だがその実情は謎に包まれており、いくらか西の大陸と交渉はあるようだが、詳しいことを知っているものはほとんどいないとされている。
閲覧・評価・コメントありがとうございます。
世界観紹介はいったん終わりますが、何か希望があれば感想に書いてくださいな。とりあえずこれだけあれば当座は色んなことがわかると思います。わかんなくなったら身に来てくださいね。
本編は本日19:00に更新します。