表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪印の女剣士【書籍化&コミカライズ】  作者: はーみっと
第五章~運命に翻弄される者達~
2074/2685

戦争と平和、その610~解ける封印㉚~

 ウッコが脅威を感じたのか、防衛本能を全開にして頭を増殖させ、中層の管理者が放った闇の剣を叩き落とすべく頭を差し向けた。壁のように立ちはだかる頭を闇の剣が群がるようにして、次々と削ぎ落すも、頭は無数に増殖し続け、闇の剣を着実に受けていった。何本かは防御網を突破してウッコの弱点部分に突き刺さったが、さほど有効な一撃になったようには見えなかった。


「げっ、ほとんど受けられた」

「いや、上出来だ。ほとんどの肉を削いだではないか」


 ライフレスが放つ《死せる太陽による判決》の二撃目。その光球を赤子がかき抱くようにして防ぐ。赤子の肉と血管が熱膨張し、一瞬で沸騰して煙を吐き出す。だが倍ほどにも膨れ上がった体積で赤子部分は煙を出して動かなくなったが、弱点部分にはやはり届かない。

 ライフレスの盛大な舌打ちが聞こえた。


「ちっ、しぶとい魔獣だ!」

「まだまだぁ! 数千年に渡る因縁に決着をつけてやる!」


 防ぐ手立てがなくなったウッコに、ソールカが追い打ちをかける。ソールカの目の前には既に巨大な光球があった。


「光舞の十形、光尖槍ブリューナク!」


 光の球に向けて回し蹴りを放つソールカ。ソールカの蹴りを受けて光球が五つに別れ、多方向からウッコの残った肉片に襲い掛かった。

 余波を受けて煙を出した赤子の部分は崩れ去り、弱点部分の残った肉片部分を光の槍が撃ち抜いた。だがリサが今までで一番大きな声で後方から叫んだ。


「まだ! 後ろ!」


 リサの叫びを受けるかのように肉片部分の後ろが変身し、六足歩行の鳥となった。打ち抜かれた部分を捨て去り、全力疾走で撤退を開始する。


「逃げる気です! 仕留めて!」

「にゃろう!」

「逃がすか!」


 中層の管理者やライフレス、ヴァイカが遠距離から攻撃するが、すり抜けるように器用に走り抜けるウッコ。部屋の出口まであと十数歩というところで、ウッコが後方を確認すると、その背後には音もなく迫る影がいた。


「逃がすと思うか?」

「キェエエエエ!」


 ウッコが奇声とともに、背中から硬質化した羽をやたらめったらに撃ちだした。無数の羽に貫かれる影五体。そのどれもが致命傷になったのを見てウッコがにやりと笑ったように口角を上げたが、影もまた同じように笑っていた。

 そして五体の影が全て消え、ウッコの表情から笑いが消えた。


「五体とも最初から偽物さ。本体は最初から隠形の魔術でこっちの出口に向かっていたんだ。お前は追い込まれたらきっと逃げると思ったが、思った通りだったな」


 ウッコが声に反応すると、その頭部を闇の大剣が貫いた。ポルスカヤが作成した魔術による剣。その剣を受けてウッコの動きが停止する。

 向かっていた出口には、いつの間にかポルスカヤが回り込んでいた。その傍にはティタニアも控えている。周囲には黒点剣が浮いていたが、ふっと掻き消えるとウッコの体が細切れになっていた。


「成敗!」


 ティタニアの静かな声とともに、ウッコが肉片となった。同時に、分体も一斉に痙攣したかのように固まって倒れ、その肉が腐ったり、あるいは燃えていた。リサも頷いている。


「生命反応、消失しました」

「よし、やったかな?」


 中層の管理者の管理者が安堵のため息をついた。誰も歓声を上げるではなかったが、息を大きく吐いて安堵する者は多数いた。かつてを知るソールカは大きく両手を挙げてヴァイカに飛びつき、全身で喜びを表現する。

 その様子を見て、ライフレスやティタニアですら、小さく笑っていた。


「ようやく死んだか。さすがは伝説の大魔獣よ、これほどの戦士を集めて罠に嵌め、目覚めたてを襲ってようやくか」

「(・・・死んだの?)」

「ああ、死んだ。生命反応を感じない。リサでなくともわかるさ」

「(そうね、それはわかるわ。完全にオドも消失している。だけど何か・・・)」


 言葉にならない不安をアルフィリースは感じていた。あっさり死に過ぎだと感じたのだ。こんなものにブラディマリアと同格以上の魔人や、グウェンドルフ以上の真竜が数千、数万もいて負けたのだろうか。

 攻撃が通用しなかったと、皆が言った。そこに何らかの仕掛けがあったにしろ、あっさり死に過ぎではないのか。それに覚醒した時、遺跡の外にいてもわかるほどの魔力の放出と、地鳴りがあったのだ。凄まじい魔力ではあったが、それほどの魔力を放出できるような存在には感じられなかった。

 アルフィリースは言い様のない感情を抱いたが、その感情に同調する者がもう一人いた。そして二人が顔を見合わせた時、その事態は起こったのだ。



続く

次回投稿は、11/3(火)16:00です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ