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呪印の女剣士【書籍化&コミカライズ】  作者: はーみっと
第五章~運命に翻弄される者達~
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戦争と平和、その587~解ける封印⑦~

「・・・そうか、君は・・・」

「ボクの顔に何か?」

「いや・・・いい。残念ながら、それを聞きだす時間的余裕はなかった。僕が知ることができたのは、転移魔術の構成と応用、オーランゼブルの精神束縛の魔術の使用履歴と方法、僕の起源と闇魔術の応用、それに下層の管理者のことくらいさ」

「へえ。それだけ知ることができたのなら、キミの目標には届くのかな? やりたいことは、オーランゼブルへの復讐かい?」


 中層の管理者の質問に、ドゥームは澱みなく答える。


「それが最優先だ。それと前後してジェイクをゆっくり始末しながら、リサちゃんと遊ぶ。それが終わったら――遺跡巡りでもしようかな」

「へぇ、どういった風の吹き回し?」

「僕も考えるところがあったんだよ。下層の叡智に触れて、世界の広さを知った。人間で遊ぶのもやめるつもりはないけど、それと同じくらいやりたいことができたのさ」

「ふーん、ボクは元々そのつもりだったから、今の研究が終わったら一緒に旅をするのもいいかもねぇ」

「旅は道づれ、世は情けって?」

「ボクたちが通ったら、世は過酷だよ」


 中層の管理者の言葉に、ドゥームが笑う。


「その通りだ。でも、君の『  』は完成するの?」

「あと一年もあればおおよそね。幸いにして、中層に研究対象は山のようにあるから。それらのデータを解析するだけでもあと半年。実験に踏み切れば、進行は早いと思うよ? 下層の叡智に触れれば一瞬だったかもしれないのに、惜しいことをしたな。好機は今しかなかったのにさ」

「下層は高温洗浄されているそうだ。しばらくは誰も入れないってさ」

「ふーん、さっきの振動のせいかな。中層でとんでもないことをしでかした馬鹿がいたみたいだからね」

「とんでもないこと?」

「中層をぶち破って、下層に被害を出したのさ。おおわらわだよ」


 中層の管理者がお手上げのポーズをする。


「おかげでウッコが大怪我を負って動けなくなるから、あんな得体のしれない相手が近づいてさ・・・」

「得体のしれない?」

「銀の髪の不気味な女さ。あいつ、ウッコを元に戻して何をしたいのやら。でもその能力が面白そうだったから、ティタニアにも応用できないかと思って――」


 中層の管理者が自分の考えを伝えようとした時に、ソールカとヘードネカの戦いが激化した。ソールカが光の塊を作り出し、それを蹴ると光線が何十も放たれ、ヘードネカに襲い掛かる。ヘードネカは残像を残すほどの速度でそれらを躱すと、炎の鳥と風の渦を合わせて炎の渦を作り出し、ソールカを攻撃した。

 ソールカは難なく避けるが、炎の渦はそのまま形を維持してソールカを追いかける。


「その程度、光の速度で動く私に当たるものか!」

「光の速度で動けると言ったって、狭い場所じゃあ十分に動けないでしょ? せいぜい音よりちょっと早く動ければましな方だわ」


 ヘードネカがソールカに肉薄する。ソールカと互角に打ち合いながら、その顔は楽しそうに笑っていた。


「それに、いくら早く動けたって、その場からいなくなるわけじゃない。ならば、こんなのはどう?」


 ヘードネカが作り出した炎の渦が分かれ、さらに大きくなり空間を埋め尽くし始めていた。逃げ場がなくなったことにソールカが気付いた。


「これは・・・」

「中には金属の欠片も同時に舞っているわ。突っ込めば姫様といえでも無事ではすまない。音よりちょっと早く動くくらいなら私でもできる。だから、ここからは純粋な近接技術の勝負」

「それで私に勝てるつもり?」

「それは、やってみなければわからないわ。私も命がけで戦うのは初めてだから。この状況で何とかできないなら、勝ちの目は薄いなぁ」

「いいわ、見てあげる。来なさい!」

「――とまぁ、二人の世界に入ってしまっているわけですが。そろそろ逃げないと、本気でヤバイのです。あっつい!」


 宙に浮きながら戦う二人を見て、リサが冷静に断じた。火の手が回りは早く、リサの服の裾を焦がす。二人に戦いは見事だったが、見入っている余裕は周囲の者にはなかった。

 中層の管理者もそれを感じたのか、まだその場にいた者たちの所に駆け寄ってきた。


「さて、逃げたい人は手を挙げて? ドゥーム君とボクの転移魔術で飛びますよ」

「残りたい人は自由にどうぞ? 別に止めません」

「私は残ります」


 その言葉に逆らったのはティタニア。既に血が止まったのか、血色のよくなったティタニアは即答で二人の申し出を断った。



続く

次回投稿は、9/18(金)19:00です。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり死んでいなかったのかな?ケロべロス涙目...
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