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呪印の女剣士【書籍化&コミカライズ】  作者: はーみっと
第五章~運命に翻弄される者達~
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戦争と平和、その584~解ける封印④~

「まさかねぇ・・・そんなことってあるのかな? 黒の魔術として集めた面子はそもそも切り札じゃなくて、替えのきく捨て駒ってか?」


 マナが使えないこの空間なら、ライフレスの魔力はオーランゼブルを上回る。寝返らせたライフレス、ブラディマリア、ティタニアの戦力をもってすればここでオーランゼブルを仕留めることも可能だと思っていたのに、一気に雲行きが怪しくなってきた。

 ドルトムントくらいは動くと思っていたのだが、精神束縛が解けて力が抜けたのか膝をつくライフレスにすら目をくれず、固まっているように見える。ブラディマリアもまだ動けまい。そうなると、頼りになるのはティタニアだが。


「せっかく浄儀白楽やティタニアとも連携を取ったのに、これじゃあ戦力半減か。さて、押し切れるかな?」


 ドゥームの心配をよそに、一番早く仕掛けたのはラインだった。アルフィリースを弾き飛ばしたシェリーが追撃をしないように、ダンススレイブを使った最速の攻撃で押し切ろうとしたのだ。


「フウゥウ!」


 ラインの攻撃を受け止めるシェリー。そこに虚をついてレクサスとベッツが襲い掛かる。


「三人同時に捌けるっすか?」

「卑怯者みてぇだが、恨まないでくれ美人さんよ!」


 ラインの全開の剣を軽く受け流し、瞬間的に腰の小太刀を抜いて二刀に切り替えるシェリー。レクサスとベッツの剣をあっさりと受け止め、その背後から攻撃してきたルイとイブランの攻撃もするりと逸らす。


「こ、こいつ!」

「手ごたえが全然ありやがらねぇ!」


 だがその直後に、クローゼスが放つ氷の鳥とミュスカデが放った炎の虎、そしてラーナが放つ闇の大蛇にエアリアルの放つ風の刃がシェリーに向けて放たれた。最初に切りかかったラインはシェリーの注意がそれると考え、シェリーは無視してそのままオーランゼブルに切りかかろうとする。


「これならどうだ!」


 事前に打ち合わせた訳ではないが、それぞれができることを考えて攻撃した結果、途切れることのない連携となった。この連続攻撃を目の当たりにシェリーは、ドルトムントの目には薄く笑ったように見えた。


「姉上・・・まさか意識が?」


 シェリーは魔術の四連撃に対して剣を添わせ、それぞれを巻き取るように剣の上に収めた。そしてエアリアルの風の刃だけは逸らしてラインに向けたが、ラインがそれもかいくぐりなら攻撃するとみると、自ら小太刀で一撃を放った。


「うおっ!?」


 ラインの目の前を、一陣の風が通過した。空気すら切断されたと感じたが、実際には天井にまで届く剣筋が地面を叩き切っていた。エアリアルの風の刃をかいくぐって速度が落ちていなければ、首が落ちていた。

 そして振り返ったシェリーの剣の上では、氷の鳥と炎の虎と、闇の大蛇が止まり木にとまるように休んでいた。呆然とするのは魔女たちの方だ。


「魔術を剣で・・・」

「そんなのアリ?」

「常識が通用しない・・・それともあの黒い剣が特別なのですか?」


 炎に照らされて浮かび上がる無表情のシェリーだが、そこに地面を抉る衝撃波と、空を飛ぶ剣筋が二発襲ってきた。


「二撃必殺!」


 ティタニアの放った攻撃がシェリーで交差する。だがシェリーはその同時攻撃を一本の剣で受け流し、天井に向けていた。かつて大規模な砦すら一撃で破壊した攻撃が天井に当たると、がらがらと崩落が始まった。

 呆然とするのはティタニアだ。


「馬鹿な、そんな防ぎ方が?」


 だがティタニアの攻撃の重さに、シェリーの手が痺れる。シェリーがそれに気づくと、今度は攻撃すべく一歩前に出ようとして、オーランゼブルがシェリーに命じた。


「シェリー、撤退だ。10秒でいい、時間を稼げ」


 足を止めて命令にこくりと頷くシェリーに、今度はドルトムントが襲い掛かった。




続く

次回投稿は、9/12(土)19:00です。

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― 新着の感想 ―
[一言] シェリーめっちゃ強いですね。死んではないんですか。
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