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呪印の女剣士【書籍化&コミカライズ】  作者: はーみっと
第五章~運命に翻弄される者達~
1998/2685

戦争と平和、その534~廃棄遺跡中層⑧~

「どれにも何かの文字が刻んであるわね・・・これが何?」

「ええ、私にもソールカにも読めませんが・・・え、数字? 目の前のから順に7307、7308・・・どうして読めるのですか?・・・はぁ」


 アルフィリースがやや間抜けな声を出したので、ソールカが不思議そうに御子の顔を見ていた。


「どうして私にも読めない文字が読めるかなぁ・・・アルフィリースはなんて言ってるの?」

「文字を見ていたら推測がついたって・・・同じものを見ていたはずなのに、どうしてわかるのかしら・・・え? 交差していた通路の人形の番号も見たらかわかったと。うーん、そんなものですか・・・え、まだ続きがある?」


 ミコが一人でぶつぶつと呟いているようにしか見えないが、どうやらアルフィリースと会話をしているようだ。そしてミコの表情がみるみるうちに青ざめるのが、誰の目にもわかった。


「そんなまさか・・・ええ、推測の域は出ないですが・・・わかりました。あなたの助言に従います」

「どしたのミコちゃん、素直だね」

「だからそのミコちゃんを止めなさいと――そんなことを言っている場合ではないですね。みなさん、心して聞いてください。あくまでこれはアルフィリースの推測ですが、ウッコを倒してすぐにここを出るべきだとのことです」

「言われなくても、こんな辛気臭ぇところはこっちから願い下げだ」


 ラインが横やりを入れたので、リサがその頭をぽかりと叩く。だがラインの表情は真剣なままである。


「で、何が危険だって?」

「・・・この金属の巨人は、交差する道で少し形が違うのがわかりますか?」


 ソールカも確認するため光源を出したが、ラインたちも確認すると確かに腕の形が少し違う。通って来た道の巨人には両手がしっかりついていたが、交差する通りの巨人は片方の腕の手首から先がなく、空洞になっている。よく見れば、顔の形も少し違うようだ。

 ラインは即座に推測した。


「なるほどな。用途、あるいは運用方法が違う巨人たちをそれぞれ並べているってことか。数字は四桁――下手すると万近い巨人が並んでいるってことか」

「なっ――四桁の金属製のゴーレムの軍勢だと? 国が亡びるぞ!」


 ルイの言葉に、ラインが即座に付け加える。


「その程度で済めばいいがな」

「その程度だと?」

「アルフィリース、お前はこう言いたいんだろ? 種類ごとにそれぞれ四桁の番号が割り振ってあるとして、通りから通りまでだいたい左右で20体の兵士が並んでいた。一列一万体の同系統の兵士がいるとして、推計される区画は500。500×500で25000の区画に、一区画にそれぞれ四方で兵士が40体いるとすりゃあ・・・十万のこの金属巨人どもがいるかもってな」

「十万ときたか――」

「あー、世界の終わりっすね」


 思わず顎に手を当てて唸ったベッツに、レクサスはあっけらかんと世界の終末を予言した。レクサスは金属巨人をコンコンと軽く叩きながら、ソールカに話しかけた。


「そこの金色の美人なおねーさん、この巨人ってどのくらいの戦力か想像つくっすか?」

「・・・そうね、おそらくは魔力の影響によらず動ける人形兵士だとは思うけど、他の遺跡の番人と同じなら――私の全力で100体同時相手が限界かしらね。魔力が使える場所なら、なんとか勝負になる真竜もいるでしょう」

「それ、わかりにくいっす」

「あなたが10万人集まっても、私には勝てないわよ? つまり、人間じゃあ全く勝負にならないわね。彼らは魔人の魔術の雨に耐えることができ、真竜のブレスの弾幕に耐えることを想定して作られている。人間が神代の武器を用いたとしても、傷をつけることすら難しいでしょうね」

「あちゃー、そう来たかぁ」


 レクサスがぱしっと顔を叩いたが、ソールカの言葉は絶望的だった。誰もが言葉を失くす中、ラインだけがあっさりと続きを話した。


「何を大の男が悶えてやがる。こんな奴らと馬鹿正直に戦う必要がどこにあるんだ」

「だって副長さん、それならどうするってんです?」

「動く前にぶっ壊しゃいいんだ。簡単だろ?」


 ラインの言葉に、ぱちくりと瞬くレクサス。ラインは続ける。


「ゴーレムってのは命令がなきゃ動かないんだろ? なら、命令系統そのものをぶっ壊すのが一番だ。それが人か、魔法陣かは知らねぇけどな」

「なるほど、そりゃ簡単だ」

「面白い発想じゃない。ミコ、辿れる?」

「そうは言いますが、精霊のないところではなんとも――」

「俺のこと、忘れてない?」


 アルフィリースの耳飾りに変化していたパンドラが突然発言したので、全員がびっくりした。パンドラのことを知っているのは、団内でもアルフィリースほか数名に限られる。なので、パンドラも大人しくしていたのだが、ついに我慢できずにしゃべり始めた。

 パンドラは姿を大きくして掌程度の箱になると手足を生やし、ぴょんと飛んでリサの肩に移っていた。



続く

次回投稿は、6/5(金)9:00です。

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