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呪印の女剣士【書籍化&コミカライズ】  作者: はーみっと
第五章~運命に翻弄される者達~
1968/2685

戦争と平和、その504~廃棄遺跡㉓~

***


「ルナ!」


 空中に放り出されたレイヤーが叫ぶ。ルナティカは繊維を編んだ紐についた短剣をレイヤーに放り投げ、レイヤーの腕を絡めとった。紐の緊張を保ち、レイヤーがわずかに光る壁を頼りに、周囲を探る。


「(このまま地面に叩きつけられたら、確実に死ぬ! 底がどこかは全くわからないけど、そこかしこに浮いている足場があるみたいだ・・・どこかに上手く引っかけないと)」


 レイヤーが冷静に探りながら、しばらく落下したところで暗闇に光る何かを見つけた。ルナティカを振り子のように放り投げ、縄を上手く引っかけることに成功する。するとレイヤーの体が遠心力で上に投げられ、レイヤーは宙がえりをしながら闇に浮かぶ足場に着地することに成功した。

 そのままルナティカを引き上げ、二人は事なきを得ていた。さしもの二人も、着地すると大きく息を吐いた。


「生きてる」

「さすがに危なかった。なんて道化だ」

「でも殺されなくてよかった。戦ったら確実に死んでた」

「かもね。それにしても丈夫な紐を持っていたんだね」

「ドワーフに頼んで開発してもらっていた武器。南の大森林の植物から採れる繊維と、薄くした金属を編みこんだ縄らしい。伸縮性に優れていて、魔術でもない限り切れないらしい。

 さて、ここはどこ?」


 二人が周囲を見渡すが、周囲はほぼ暗闇。ぼうっと壁が青白く輝くせいで何も見えないわけではないが、わずかに輪郭がわかる程度である。それでも暗闇に目が慣れると、巨大な縦穴にいることがわかった。小さな村ならすっぽり入るほどの直径をもった縦穴である。

 足場は丁度統一武術大会の競技場程度の広さ。それらがどうやらいくつか縦穴にぶら下がっていたり、宙に浮いているようにも見える。先ほど縄を引っかけるのに成功したのは、どうやら足場を支えている鎖らしい。


「登れる?」

「できなくはないと思う。だけど、このまま下に向かうのがいいはず」

「でもティタニアは?」

「わかるよ。もう少し下に縦穴を塞ぐような足場がある。そこに着地しているはずだ」

「? どうしてわかる?」

「わずかに気配を感じるよ。どうやって一人で着地したのかまではわからないけど」


 ルナティカが下を覗いても、何もみえるわけではない。だがここはレイヤーの言葉に従うしかない。


「じゃあ下に行こう。ちなみに、どうやって降りる?」

「そりゃあ、同じ方法しかないんじゃない?」

「やっぱり」


 レイヤーの提案にルナティカの言葉の調子が一つ低くなったようだが、レイヤーは気にせず同じ方法を用いて降下していった。恐怖など一切感じていないように。

 そして広い足場に到着すると、レイヤーが慎重に周囲を探っていた。特に、レイヤーは足場と、地面の隙間を確認している。


「レイヤー、ティタニアを追わないの?」

「いや・・・少し気になることがあって」

「何?」

「まだ下があるみたいだ」


 レイヤーの言葉にルナティカも隙間を確認する。目が闇に慣れてきたせいもあるが、確かにまだうっすらを足場があるようにも見える。しかも今までの足場とは、若干様子が違うようだ。岩ではなく、鉱石のように光沢があるように見えた。


「本当だ。でも今は行く必要がない」

「うん、そうだね・・・そうだけど」

「気になる」

「気になる。だけど、今はティタニアだ。この下には、後で行けばいい」

「なら追おう。この先、ヤバイ奴がいる」


 ルナティカの指摘通り、強大な気配を感じるレイヤー。今まで感じたどの魔王よりも強力に感じるのに、不思議とそれほど恐ろしくはない。だからなのか、かなり出遅れたはずなのにすいすいと進むレイヤーが、ティタニアに追いついていた。

 巨人が開けるにしても大きすぎるくらいの扉を前に、ティタニアが佇んでいる。それを見て二人はまず身を隠した。


「(あの扉の向こうにいる)」

「(ティタニアの追跡が目的なら、仕事はここまで?)」

「(そうだけど、どういう顛末を辿るか確認するなら、部屋の中に踏み込む必要がある)」

「(いや、それより簡単な方法がある)」


 ルナティカの返事を待たずして、レイヤーが岩陰からすたすたと出て行った。その大胆さに、ルナティカはレイヤーを捕まえ損ねていた。



続く

次回投稿は、4/5(日)13:00です。

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