表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
呪印の女剣士【書籍化&コミカライズ】  作者: はーみっと
第五章~運命に翻弄される者達~
1936/2685

戦争と平和、その473~銀の一族の里③~

「(これこれぇ、久しぶりに感じるわぁ)」

「(全く衰えていない。流石)」

「里の戦姫たちの運用をお前たちに任せた結果がこれだわ。必要なこともわかるが、もはや醜態の極み。銀の一族の長として命じます。いますぐ休眠状態の戦士を全て覚醒させ、戦に備えなさい」

「し、しかしそれでは来たるべき滅びの運命に備えての準備が――」

「その程度で滅びるようならそれまでの運命。予言は予言、動くのは常に今生きている者である。時代は変わった、我々は今この大陸に生きている者の運命を見極める必要がある」


 その言葉に、現在里にいた戦士たちが一斉に姿を現し、膝をついて戦士の礼をとった。全員がソールカに従うという意思表示である。そうでないという者もいたかもしれないが、そのような者は既にこの場にいなかった。

 そして里の時は動き出した。ソールカの指示の下、休眠状態にあった戦士を全て起こすべく動き始めた。ソールカはヴァイカに命令を下す。


「私は少し体を動かしてから現地に向かいます。ヴァイカ、あなたは先行して状況を把握して頂戴」

「かしこまり。必要とあれば、チャスカの首も取る?」

「いえ、あれも私の一族の者。可能であれば生かす道を取りたい。それに近くには他の戦士の反応もある。下手をすれば周囲の者が盾にされるでしょう。それは避けたい」

「わかった、じゃあ斥候に徹する。他の邪魔者は排除する?」

「それは任せます」

「なら早速」


 ヴァイカは背中の大刀を抜くと、それを宙に放り上げてそれに乗った。まるで河で独り用の筏に乗るように、宙に浮いた大刀の上でバランスを取っていた。


「現地まで二刻」

「真竜より速いかしらね?」

「旋空竜と互角」

「現地では注意なさい」

「?」

「私の姪――あなたの妹がいるわ」


 その言葉に、無表情なヴァイカの瞳が見開かれた。余程意外だったのだろう。ソールカは続けた。


「プラテカの忘れ形見かしらね。一族以外の場所で育ったのだわ」

「なるほど――里の外から報告があったけど、そのうちの一人がそうか」

「大事になさいな。妹としても、戦士としても」

「もちろん、ひょっとすると母の能力を継いだかも。じゃあ、行くね」


 ヴァイカが音の数倍の速さで飛んでいくと、社は衝撃で砕けてしまった。もう関係ないと思ったのか、自分を縛ってきたものへの意趣返しなのか。吹き飛んだ屋根から見えた青空を見上げながら、ソールカは清々しい気分に浸っていた。


「ヘードネカ、あなたはどうする?」

「私は里を出るわぁ」

「私たちの容姿は目立つわ。外の世界で生きることは難しいかも」

「この大陸は狭くても、人の世は広いわぁ。プラテカ様がその可能性を示してくれましたもの。私を受け入れてくれる人も、きっとどこかにいるでしょう。まだ番も見つけてませんし」

「なるほど、それもそうね。私も戦いがおわったら、旦那探しでもしましょうかしらね」

「ソールカ様ぁ、それ人の世では『死亡フラグ』っていうらしいですよ?」

「なにその言葉? また妙な言葉が流行っているのね」


 ソールカが柔軟運動を一通り終えると、光を集めて棒を二つ作り出した。そして一本をぽいっとヘードネカに渡すと、構えを取ったのである。


「去る前にちょっと付き合いなさいな」

「えぇ~、姫様は容赦ないからなぁ」

「私の手合せについてこれる者が少ないのが悪いわ。あなたも昔は積極的に相手してくれたじゃない」

「それこそ、若かったんですよぅ」


 ヘードネカはため息をつきながらも少し楽しそうに笑い、ソールカと手合せを始めたのである。



続く

次回投稿は、2/3(月)16:00です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ