戦争と平和、その281~悲願㊶~
「リユウはフタツ。ヒトツはアルフィリース――オマエがミコのカノウセイがアルトイウコト。ミコにタイコウデキルノハ、サイゴはミコだけ」
「どういうこと?」
「ソレはシラナイ。ワタシもマタスベテをシルワケデハナイ。チョウロウタチの『タクセン』にシタガウだけ。
フタツメは、アルネリアはシンヨウデキナイ。コレはタダのチョッカン。ダケド、オルルゥのチョッカンはヨクアタル」
「勘ねぇ。曖昧なものを出してきたなぁ」
ラインが呆れ気味の表情をしたが、オルルゥは憤然と反論した。
「ワタシはワヌ=ヨッダのセンシダンのソウタイチョウだ! グルーザルドのジュウショウとワタリアッテキタ、ワタシのカンではフソクだとイウノカ!?」
「総隊長だぁ? ってことは、お前が一番の戦士ってことか?」
「ソウダ! ワヌ=ヨッダのソウタイチョウにナッテ5ネンだ! コノテでジュウショウをシトメタこともアル! ソレでもフソクだとイウノカ!」
オルルゥがダン! と床を叩いた。憤然とする様子は、ラインの言葉が彼女の誇りを傷つけたからだろう。
ニアがオルルゥを窘めた。
「済まぬな、オルルゥ殿。大陸の中央部ではグルーザルドすらまだ未開の土地なのだ。ましてワヌ=ヨッダのことは誰も知らぬ。我々にはその威光も伝わるが、彼らに伝えるのは難しいのだ」
「――ソウカ」
「ああ。だが獣将は確かにワヌ=ヨッダとの戦で何名かの獣将を失っている。近年も二人失ったな」
「フタリ? イヤ、ソレはワレワレデハナイ。ワタシがジュウショウをタオシタのは、3ネンマエだ」
「え?」
話の齟齬に、ヤオが入ってきた。
「アキーラ殿とニジェール殿。タカとワニの一族だ。知らないのか?」
「シラナイ。ソレホドのオオモノをシトメタなら、カナラズモウシデがアル。ジュウショウのクビはイクサのイチバンテガラ。モウシデナイリユウがナイ」
「なんと。それではあの二人を殺したのは一体・・・?」
「ごめんなさい、ヤオ。それは後で考えるとして、オルルゥは私達と手を組みたいのね? その条件は?」
アルフィリースが本題を切り出すと、打って変わってオルルゥの表情が自信に満ちたものになる。そして不敵な笑みを浮かべると、アルフィリースは嫌な予感がすると共に、ある意味では予想通りの答えが返ってきたのである。
「トテモカンタン。アシタのシアイでカッタホウにシタガウ」
「おいおい、そこは協力してことに当たりましょう、じゃねぇのか?」
ラインの言葉にもオルルゥは首を振った。
「ワヌ=ヨッダのセンシダンでは、ツヨイコトがスベテ。ショウシャはスベテをエて、ハイシャにはナニもノコラナイ。オルルゥはレキダイでサイショの、オンナのソウタイチョウ。オルルゥにシタガワナイモノ、タクサンいた。ソレをスベテチカラでネジフセ、イマのチイにイル。
オルルゥよりヨワイモノ、マシテオンナにはダレもシタガワナイ」
「まぁ大陸中央部でも似たようなものですからね。しょうがないか。ちなみに、ワヌ=ヨッダの戦士団とやらは、総勢何名なわけ?」
「センシダケで10000。タタカワナイモノをフクメルト、ソノ10バイ」
その数に何名かの者達が驚きを隠せない。
「1万? 小国の軍隊より大規模じゃないですか!?」
「落ち着け、エクラ。そうでなければグルーザルド相手に耐えられると思うか? 我々は5万近い軍隊を抱えているのだ。むしろ1万で戦っていることの方が驚きだ」
「シュウヘンのショウブゾクにまでショウシュウをカケレば、マダフエル。サァ、ヘントウはイカニ?」
「受けるわ」
アルフィリースの即答に、仲間のみならずオルルゥまで目を剥いた。
「おいおい、アルフィリース本気か?」
「私が冗談で交渉していると思う?」
「イイノカ? ジブンでイッテオイテナンだが、オマエタチのヨウヘイダンまでカケルとイウコトダゾ?」
オルルゥの問いかけにも、アルフィリースは揺らがない。
「私が作った傭兵団よ。私がどうしようと勝手だわ」
「ナルホド。デハアス、ケッチャクをツケルとシヨウ」
オルルゥは不敵に微笑むと、ゆっくりと立ち上がり部屋を出て行った。オルルゥがいなくなった後、幹部たちは騒然とする。
続く