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翼の末裔  作者: 宗像竜子
第二話 翼の末裔
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夢Ⅰ

 見上げた空に、大きな銀盤。

 吸い込まれそうに美しく、この世のものとは思えない程に汚れのない光を、静かに地上へと注ぐ。


 ── それは、月。


 太陽の全てを照らし出すようなものとは違う。

 まるで囁きかけるように、そして同時に包みこむような、その光。

 そこには熱はなく、むしろ冷たささえ漂っている。


 ── …あの光は、『祈り』の具現。

 ── 美しい場所。

 ── それは、失われた聖地。


 ……『失われた』?

 違う、ちゃんとそこにある。

 そこに存在している。

 あそこは地上から遥か離れた清浄の地。

 行かねば。

 あの場所に、行かねばならない。


 ── 何の為に?


 何の……?

 そうだ…大事な人の為。

 地上でただ一人、唯一無二の私の****の為に。

  

 ── 何故?


 それが役目だから。

 大切な人の幸福を祈る事が、課せられた役目。

 その為だけに、この世界に生まれてきたのだから。


 ──…本当に?


 本当── 本当のはずだ。

 それ以外に理由は何もないはず。


 ── 大事な人と、離れ離れになるのに?


 そう……。そうだけれど。

 けれど、行かなければならないのだ。

 そうしなければならない。


 ── それが、役目だから?


 役目…そう、それが役目……。

 ああ、でも…そうだっただろうか?

 それだけ、だったろうか……?

 …いや、何か別の理由があったはず。

 月へ行かねばならない、理由が。

 大事な****と離れてでも、行かねばならない理由が…役目とは別の何かが…確かに、あった。


 ── それは、何?


 …わからない。

 わからない…なのに、どうして…自分はこんなにも、悲しいのだろう……?

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