表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
23/30

23話 謀反

 ――とある密室、背景はおろかその場にいるであろう5体の影以外は何も見えない場にて会談が行われていた。


「最近の魔王様は目に余る、人間と協定を結ぶだのと…魔族としての誇りを忘れたかッ!

 我らは破壊と侵略こそが我らの存在価値であろう。恐怖に泣き叫ぶその姿こそが我々の最高の供物であろうがッ!」


 憤怒に燃える男は竜騎士エリュド=ドラヴァニア。

 魔王軍5将星の一角であり最も過激派の魔族の者。


「私としては乗り気じゃないわね…人間好きだし。」

「ほぅ…では我が軍と死合うか?我としてはべルヴィア、貴様のような弱い種族が5将星を名乗る事自体が腹立たしいのだ。

 今ここで切り伏せても構わんのだぞ。」

「弱いかどうかはさておき私の仲間に手を出したら容赦しないけど…。」


 目の前にいるかも分からない影を睨みつけ威圧する。会談が始まってから1分も持たずに空気が張りつめる。


「まぁまぁ落ち着いてよ、僕としてはどっちでも良いんだけど余り魔王様を刺激はして欲しくないなぁ…」

「吾輩も自分の地が荒らされることが無いのであればどうでもいい…。」

「………。」


 べルヴィア以外はどっちでもいい、特に興味が無いといった様子。 

 続くようにエリュドが語る。


「「黙って従うだけが忠誠ではない。……魔族としての本能、それは決して人と相容れない物だ。

 それこそ共存等ありえはしないッ!」

「………。」

「フッ、見ているがいい何も出来ないまま人間が死に行く様をなッ!」


 怒りに身を任せる様に言い放ち会談が強制的に終了された。

 その秘密の会談内で発した言葉には呪いが掛けられており他言出来なくなっている。

「これだから嫌いなのよ。」


 そうぽつりとべルヴィア・ナクターナは余り見せない不機嫌そうな表情で1人呟いた。


 グレイシア王国城内の大理石の床に慌ただしい足音が響いた。

 重厚な扉が激しく開かれ、一人の兵士が、肩で息をしながら玉座の間へと駆け込み倒れ込むように膝を付き頭を下げる。


「陛下ッ!急報にございます!」

「朝から騒々しい!一体何要か!」


 玉座の前に立っている大臣が怒鳴り付ける様に声を上げた。

 そして玉座に座る王のフィリオスは眉を僅かに動かし妃のセレスと目を見合わせる。

 兵士は発言の許可を待たず震える声で続いた。


「魔物の軍勢が……南方のゾハル灼砂帯よりこちらに向けて進軍しております!」

「なッ……!」


 場が一瞬で凍り付く、動揺するフィリオスとは裏腹にセレスには焦る様子は見られず冷静に状況の確認をする。


「……で魔物との距離と数は?」

「お…およそ30!今の進行の速さから6時間程でこの城に到着します。

 前方に約5000、そしてその後方10の距離を開け4~5万の魔物の群れがこちらへ向かってきております。」


 威圧感のある目と声に怯えながら兵士はその問いに答え玉座を後にした。

 フィリオスは立ち上がり騎士団隊長のゼルガ・フレインに命じる。


「全ての門を閉じよ!民を城内地下、あるいは聖堂地下へと避難させるのだ。

 迅速に動き兵を集め戦の準備をせよ!」

「はっ!仰せのままに!」


 ゼルガが指揮を副団長のバスカン・ローデンに任せ城内には慌ただしく人が入り乱れる。

 ざわめく中フィリオスとセレス、そしてゼルガは分析に勤しむ。


「魔王が命を下したと思うか?こちらに何も言わず…」

「いや、それは無いであろう。あやつはこの国によく来ておったし命を救った恩もまだ返して貰っておらん。自身で穏健派と宣っておったしな。」

「ですが魔族というのを信じても良ろしいのですか?懐に入って唐突に裏切る可能性は?」

「あやつは今この国だけではなく各国と協定を結び信頼を勝ち得ようとしている、そんな奴がいきなり何も言わずに戦争を吹っ掛けると思うか?」

「となれば配下が背いたか?」

「どうだろうな、だが魔族の中にも過激な奴がいて困ると言っておったからなぁ。」

 

 沈黙。魔王への謀反であればこちらに攻撃を仕掛けるのはおかしい、敵の行動による魔王のメリットも見えてこない。

 ただこの国を奪いたいのか……蹂躙することが目的か……。

 魔王との通信手段等無い故に相手の意図も汲み取れない。

 今は相手の意図等を考えている暇ではない、限られた時間で防衛する手段を考えなければならなかった。


「前後に魔物の数を散らしている意図は?交戦中に四方を取り囲まれると戦力も分散され迎撃が追い付かない場合が出てきますが…」

「結界の術式を張ろう、魔物の強さにもよるが1点集中でもしない限りはそう崩せん、後騎士団員には必ずルーンの入った兜と鎧を身に付けさせよ、でなければこちらの目と声が届かんからな。」

「この5000の兵は囮部隊かあるいは精鋭隊か…。」

「恐らく後者かと…敵間の距離を見るに長引かせる必要があるでしょうから…。」

「では迎撃隊は城壁にて弓と投石の準備を…。」

「結界は敵に張り付かれてからでは遅いからな、寸前で張ることとする。無闇に前に出ることの無いように伝えるがいい。」


 一つ一つ防衛の戦略を企てる内に刻が過ぎて行く一方、魔物達の兵はゆっくりと進行を進めているのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ