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「俺、歩けるようになったんだ」


 席についてメニュー表を開くのもそこそこに、待ちきれないとばかりにトシくんが口を開いた。


「ちょっと、落ち着きなさい」


 ミーナちゃんに嗜められて黙ったものの、話したそうにウズウズしている間に注文を取った。とりあえず生中と言いたくなる気持ちをグッと抑えた自分を褒めてあげたい。


「俺さ、事故で歩けなくなってさ、車椅子生活だったんだけど、VR再生治療を受けられる事になって、今日は自分の足で歩いてここまで来たんだ」


 そういうトシくんの顔は晴れ晴れとしていた。そうか、現実改変式VRプログラムには再生医療としての活用法もあるのか、なんとも凄まじいものだ。そりゃ私くらいの人体改変が出来るのなら、四肢の再生ぐらい余裕だろう。喜びを熱く語るトシくんに相槌を打っていると、その喜びが伝わってきて私も嬉しくなってくる。


「身長まで伸びちゃってさ、ちょっと前までは私と変わらなかったのに」


 そうプリプリ膨れてみせるミーナちゃんもちょっと嬉しそうだ。ミーナちゃんは150㎝位だろうか? 今の私が160㎝位でヒールの分も合わせてトシくんと私と同じぐらいの身長だった。


「ゲームの中だともっとノッポさんでしたよね?」

「う、はい、盛りました」

「VR医療で身長も伸びる可能性があるからって185㎝に設定してたもんね」

 

 ミーナちゃんの暴露に顔真っ赤で抗議するトシくん。まぁ歳くらいの男の子は急に身長が伸びたりするからね、何もおかしな事じゃない。


「そう言うミーナだって、盛ってるじゃんか」

「っちょ! 何みてるのよ、エッチ!」

「そんなんじゃねぇよ」

「私は成長期なの!」

「俺だってそうだよ!」

「ノーラに抱きつかれてデレデレしてたの見てたんだからね、このむっつりスケベ」

「あれはホラいつもの挨拶じゃん」

「抱きついてノーラの匂いをクンクンしてるの知ってるんだからね」

「だってスッゲェいい匂いするじゃん」

「うんまぁそれはそう」


 何それ怖い。


 まぁ女の子に口喧嘩で勝てるわけがないんだよ仕方ないねトシくん。仕方ないから助け舟を出してあげよう。


「ミーナちゃんは再生医療とかあったの?」

「ううん、私は付き添い枠が余ってたから入れてもらっただけ」


 そっか、そう言うのもあるんだ。


「ノーラもそういうのあったりするの?」

「私は……」


 チラリと隣の机に陣どる担当さんに目線を送ると、したり顔で。


「機密事項になりますので、ご容赦ください」


 とにっこり笑って見せた。うんまぁただVRで遊びたかっただけのお爺さんだったんだけどね、今はこんな形だしねぇ。ミーナちゃんも、なるほどといった顔になっていた。


「エルフって生で見たの初めて」


 そういうミーナちゃんにトシくんも首肯している、まぁ私も自分以外のエルフを見たことが無いんだけど。


「エルフってアヴァロンって島で引きこもりしてるんでしょ?」

「かかわりが無くて良く分からないんですよね」


 なんせ人造エルフなんで、世界情勢で暴れまわっているエルフさんたちの事はよくわからないんだなぁ。


「ベルナートでもリアルの印象が強いから、エルフって全然いないらしいよ」

「え、そうなんですか?」

「うん、なんかね、エルフって慇懃無礼か絶コミニュケーションで、エルフが拉致されたりするとアヴァロンが全力で殺しに来るってイメージだから」


 マジカーそんなの知らなかった。

 そんなこんな話をしていると、注文した料理が運ばれてきた。


「あ、ワイン頼んだの?!」

「はいはい、私のだからね~」


 おこちゃまたちは飲んじゃだめよ。お酒が好きと言うわけでは無いけれどこの体になってからは一度も飲んでいないので、ちょっと楽しみだったりする。


「エルフの成人って何歳なの?」

「まぁ私が成人していることは間違いないから大丈夫」


 定年したお爺さんだからね、問題ないね。


「じゃ~カンパーイ」


 グイっとグラスを空けて、ぷっは~といい気分。ここのチェーン店は安い割に美味しいイタリアンを楽しめるし、ワインも安いんだよね、ボトルで千円くらい。

 ピザを摘みながらワインを飲んで、楽しくおしゃべり。ワインボトルが残り少なくなってきたなと思った時だった、クラっと来た。


「う~ん、お酒に弱いのかもしれない」


 ワインにチェイサーとかいる? そんな事を考えながらフラフラしながらおトイレに行こうと思って席を立った時、ふっと視界が暗くなった……。




「何処ここ?」


 目覚めるとそこは見知らぬ白い部屋だった。何と言うか病室っぽい? 盲腸でしか入院したことが無かったけど、こんな感じだった気がする。その時は8人部屋だったからもっと居る気配が有ったけど、この部屋は他にベッドも無く個室の様だ、ボンヤリお外を眺めていると朝の陽気が心地よかった。


「あ、お目覚めですね」


 巡回に来た看護師さんが無線か何かでどこかへ連絡を入れると、朝食の準備をしてくれた。それを食べながら今時の病院食って美味しいんだなぁなどと思っていると、担当さんがやってきた。


「これからお酒は禁止ですね」


 なんでもオフ会でワインを飲んでトイレに行く途中の椅子に座って眠りこけていたらしい。そのままオフ会は終了し、私はアーコロジーまでドクターヘリで救急搬送されたそうだ。診察の結果、ただ酔っぱらって寝ただけだったらしい、なんてこった。こんなにお酒に弱いとは、酒場でウエイトレスやってた時は、飲ませようとする男連中は魔法でなぎ倒してたからなぁ、全然知らなかったわ。


 そうやって私の初のオフ会は、突然終わってしまったのでありました。

ヒトナー面白いですよね。

私のケモナーLvは大体真ん中ぐらいです。

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