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感想をもらったのがうれしかったので、夜中2時に目が覚めた勢いで書き上げました。


土曜日が休みっていいよね、凄い久しぶりの二連休だぜ。

 再びログインできたのは2日半後の事で、ベルナートの世界では10日が過ぎていた。宿代は問題なかったが、女将さんの出産予定日を過ぎており、出産当日には間に合わなかった。


「忙しい時にすみませんでした」

「こればっかりは仕方ないよ、気にしないで」


 赤ちゃんをあやしながら女将さんは言ってくれた、冒険者プレイヤーという物は定期的に数日眠りに入るというのはベルナートの常識らしい。眠っている間リアル世界で引っ越しやら健康診断やらで忙しかったと言い訳にもならないので、流してくれてありがたい。


「お、今日は一段とスゲぇ格好だな、似合ってるぜ」

「デリカシーが無いからモテないんだぞ」


 通り過ぎざまに尻を触ろうとしてくるトラスの手をお盆でガードしつつ睨みつける。でもちょっと何時もよりも対応が柔らかいのは、大事な時に出勤の約束を守れなかった罪悪感のせいだろう。その負い目を敏感に嗅ぎ取って、普段だったら絶対に断るであろう際どいお仕着せを用意する女将さんの手腕、そこに痺れないし憧れない。


「先輩、2番テーブルお願いしまーす」

「はーい、今行きます」


 ジョッキをカウンターに用意したカミリアちゃんの目が(巻き込まれたのは先輩のせいですからね)と訴えかけてくる。その姿はいわゆるバドガール的なボディコン衣装。谷間くっきり体のラインはっきり、股下何センチ? レベルの超ミニ、大股で歩くとずり上がって丸見えになってしまうような危険な姿だった。


「先輩は似合うからいいですけど、私なんか羞恥プレイじゃないですか」

「カミリアちゃん可愛いよ」


 全体的にボリュームが足りないカミリアちゃんのバドガール姿は見る者によって健全と不健全のラインが変わる危険な色気で、中学生の水着姿とでも言うのだろうか? まぁ15歳なのでそんな感じなのだろう。


「先輩位のスタイルだったら、何着ても似合いますよね」

「なんだか慣れてしまったよ」


 私も苦笑いである。リアルでもパーティードレスを着ていたんだ、もう怖いものなんてないぞ。ジョッキを持って2番テーブルへ行くと伸びてきたバニングの手を気持ち優しめウィルオーウィスプで弾いて戻ってきた。


「ああ、今日は要るんだな」

「いらっしゃいませ~?」


 新しい客が入ってきたので振り向いてみると、私の格好に面食らった様なジグラートさんが立っていた。


「なるほど、これは話題になるわけだ」

「期間限定ですから、次に期待しないでください」


 ジグラートさん一人の様なのでカウンター席に案内する。


「夕食になる今日のおすすめを頼む、それとエール」

「承りました、少々お待ちください」


 去り際の後ろ姿をじっくり堪能しているであろうジグラートさんの視線を感じつつ、私は厨房へ入ったのであった。


 魔法談義をジグラートさんと楽しみながら給仕やら片付けやらをしているうちに閉店時間となったので客達を追い出して、なんとか復帰初日のウェイトレス業務は終わった。


「今日はお客さんがなかなか帰りませんでしたね」

「売り上げも上々よ」


 ほくほく顔の女将さんの背中で赤ちゃんはグッスリと眠っていた。時折オムツや授乳で奥に引っ込んでいたのだが、店じまいのタイミングで背負って寝室に行くようである。


「「わ~かわい~」」


 カミリアちゃんとハモってしまった。小さくてまんまるでふにふにでむにむに動いて、ずっと見ていられるぐらい可愛かった。


「抱いてみる?」

「え、いいんですか?」


 カミリアちゃんに先を譲って待っている間、手がワキワキするぐらい待ち遠しそうにする私を見かねてそうそうに赤ちゃんを譲ってくれたカミリアちゃん、ありがとう。


「お名前はなんていうんでちゅか~」


 腕にすっぽり収まる小さな命、まだ目も明いていない。この世界では乳児死亡率は非常に高い、だから1歳になるまでは名前を付けない、そのことを説明してくれる女将さんはなんとも言えない表情だった。


「そんなはずがない、こんなに可愛いのに、そんなことありえない」


 自分でも何を言っているのか分からないけど、胸を締め付けられるこの可愛さに、腕に収まる赤ちゃんの、こう在るべきだと言うような、足りなかったピースが収まるような、ずっと求めていたものにやっと気が付いたような、そんな気持ちに圧倒されていた。


「欲しかったなぁ……」

「先輩、涙が」


 ああ、私は、君との子供が、欲しかったんだ。


 君の事を愛していた、君と家族になって、君との家族が作りたかったんだ。


 君が居なくなって何十年も過ぎたんだ、どんなに愛していたとしても、更新されない記憶はどんどん薄れていくんだ。写真でいくら補完したとしても、声や匂いや手触りはどんどんどんどん薄れていく。もう君の声も匂いも手触りも、思い出すことが出来ないんだ。君を失ったあの日の慟哭を時間が癒してくれたように、君への愛おしい思いも、月日と共に色褪せた。


「ありがとう、小さな命」


 君を失った痛みを思い出させてくれて、私はまだ君を失った痛みで泣くことが出来る事を教えてくれて。


「ありがとう、可愛い子」


 赤ちゃんの額にキスをして、この子が健やかに育ちますように、心からの願いを込めた。何かがカチリと嵌る感覚がして、赤ちゃんが仄かに輝いた。


 私は泣きながら笑い、赤ちゃんを女将さんに返した。


 翌日、泣きながら笑っていた事を問い詰められて、説明したら女将さんとカミリアちゃんに泣かれたのはまた別の話である。

とりあえず1章が終わった感じ、やっと冒険章にはいれそうです。


3人パーティーで初級ダンジョン下水道に潜る話にしようと思っています。

よろしくお願いします。

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