《人間界へ》
なんやかんやあったが、私は城に向かうためマジリーノの家から出て行こうとする。
すると、マジリーノに後ろから声をかけられた。
「あ、リヴ様!よかったらこれを!」
「…これは、眼帯…?」
マジリーノから渡された眼帯は、黒い眼帯だった。一見シンプルに見えるがよく見ると、黒い布に黒い色の魔法陣が刻まれている。
「リヴ様のオッドアイ、人間界だと目立っちゃうので!あと、今うちの妹が北の国に"お忍び"してるんです!何かあったらその眼帯の魔法で呼び出して頼ってくださいね!」
「ありがとう、付けさせてもらうね。魔法神の妹って確か…、加護がうんたらかんたらみたい言われてる"氷雪神"だよね。」
私は、もらった眼帯を付けながら問う。
「はい、よく知ってますね!神の加護を持つ神です!名前は_______です!呼べばくると思いますよ。」
「…そう。なんかあったら使うね。それじゃあね。」
私は門をくぐった。
私は本日二度目の無駄にでかい城の無駄に重い門を開ける。
すると、さっきと変わらぬ様子のあいつが正面の無駄にでかくて、無駄に豪華な椅子に座っていた。
「あら?早いわねぇ!リヴのことだからボケにボケ倒して、理解するのにあと三日くらいかかるかと思ってたわぁ!」
「…失礼ね。」
「うふふ、冗談よ。じゃあリヴに問題よぉ!植物の命のために、あなたが"お忍び"でしなくてはいけないことは?」
「…ふっ、簡単ね。植物を踏まないために浮いて移動するわ!」
「正解は無闇に植物を採らないこと!残念!"お忍び"はまだまだ先になりそうねぇ」
「はっ!?」
たしかマジリーノのところで似たようなことを聞かれた気がする。記憶するのが面倒くさくてしていなかった。やらかした。
「まぁ、多分リヴはこのやりとりを忘れて人間界でちゃんと歩くだろうからいいわよぉ」
「…はぁ」
それもそうだ。それにしても、こいつにここまで私のことが読まれているのは癪に障るが。
私は、藍色になった髪をくるくるといじりながらアードゥーンの行動を待つ。
「それじゃあ、いってらっしゃい!楽しんでくるのよぉ!」
アードゥーンがそう言うと、目の前に無駄にでかい、無駄に仰々しい門が現れる。
門の扉がひとりでに開く。
私は何も言わずにその門をくぐった。
扉の中は一面真っ白だった。眩しさを感じるほど白いので目を瞑る。
次に目を開けた時、足元には土と草。頭上には青空と太陽、そしてそれらを遮るように葉が影を作っていた。その葉の根元を辿ると枝、幹、根。それがあたり一面に広がっている。つまり、私が今いるのは森である。
あたりを見回しながら歩くと看板を見つけた。
"ルーティリアン王国南西部・桃色の森"
ルーティリアン王国、南西部。
さっきマジリーノのところで地図を見せてもらった。その時教えてもらった、サージェリー伯爵領、伯爵邸はルーティリアン王国南西部。
創造神に見透かされているのが本当に気色悪い。これだからあいつは嫌いだ。
私は、マジリーノに地図を軽く見せてもらってきたが、ざっくりとしか見ていなかったので、この森がどんな形をしているのかわからない。
というか地図があっても、ここがどこだか正確な位置がわからないから意味はない。どうすれば森を抜けられるだろうか。
私は少しあたりを歩きながら考えていた。
すると、左から強めの風が吹き、青いものが飛んできた。飛ばされる青いものを捕まえ、見る。それは花であった。そしてこれほど分かりやすい形の花は他にないだろう。それは薔薇であった。
青い薔薇。青い薔薇は自然に存在しない。人が染めないと生まれない。つまり、左側に行けば人がいるということだろう。
私は左に向かって歩き出した。
数分ほど歩いたところで何か動くものを見つけた。目を凝らして見る。神は皆視界をズームできるが、面倒くさいのでそのまま見る。
それは人と、大きな魔獣であった。
魔獣とは、魔力によってより強靭な肉体になった獣。ちょっと強い野生動物である。
私が見つけたのはずいぶん巨大になった猫の魔獣のようだ。
魔獣は人に飛びかかろうとする。
この世の自然は弱肉強食。弱いものは強いものに、殺され、喰われ、奪われ、淘汰される。その理を、神たる私がわざわざ破る必要は無い。
私はかわいそうに、と思いながら分身体と視界を繋いでいる片目に集中する。そして、これから死ぬ目の前のかわいそうな人の"源"を探す。
その次の瞬間、私はかわいそうな人と魔獣の間に飛び込んでいた。
ながらく期間が空いてしまい、申し訳ありません!
作品の執筆アイデアが浮かばず、書けずにいました。でも、意外と書こうと思えば書くことができました!なのでよければ、いつも通り暇つぶしゲーが落ちた時の再起動の間にでも読んでください。




