第一章 四話《仕方ない》
「………………………あれ〜…?」
この"源"、記憶が覗けない。
見えるのは真っ青な顔で苦しそうに息をしながら気を失っている青年。これは現在の様子だ。
こんな"源"は初めてだ。上下以外に動き、声を発し、記憶が覗けない。どうするか判断しかねる。
私は変な"源"を抱えて暫く考えた。そこで一つの結論に辿り着いた。
「はぁ、仕方ない。会いに行くかぁ…」
この"源"を放置して、もしまた暴れ出したら他の"源"に危害を加えかねない。なぜあそこまで生きていたいのか。なぜ"源"を動かせたのか。
『"人"の行動には大抵理由がある。その理由を知るには直接会って目を見て話をするのが一番手っ取り早い』と言っていたのは心想神だっただろうか。もう数千年前の事だからわからない。
とにかく、この"人"に会うなら人間界に行かなくてはいけない。
そして人間界行くには、あいつに、創造神に会いに行かなくてはいけない。
「はぁ、なんでわざわざ私が…」
私は森を後にした。
"神の国"は中央に大きな城があり、そこに創造神が暮らしている。人間界の国も国の中心に王都を置き、そのさらに中心に城を築いている。そこは神の国も人間界も大差ないのだ。差は何かと言えば、空中に他の神の家の門が浮いているぐらいだろう。
最果ての森から気が遠くなるほど飛んだ時、城が見えてきた。城の前に飛び降り、私が50人分くらいの高さの城を見上げる。
なぜ、こんな無駄にでかい城にする必要があったのだろうか。前に聞いた時『大きくて、高い城ってカッコいいでしょう!』とあいつが言っていた気がする。くだらない。
私は無駄にでかい城の、無駄に重い門を開けた。
城の中には数十人いた。いや、数十神と言うべきだろうか。皆、私を見て目を見開き、口をあんぐりと開けて固まっている。無理もない。私が森から出てくる、ましてや城に来るのは数百年ぶりだからだ。
すると、一人が口を開いた。
「あらら〜、久しぶりねぇ。アタシ、あなたにずっと会いたかったのよぉ。
_________"リヴルーフェ"」
「あら、私は会いたくなかったわよ。
_________"アードゥーン"」
私は気持ち悪いねっとりした口調で喋る"男"に返事をした。
この気持ち悪いのが、"創造神・アードゥーン"。私と同じ、最古の神。
皆さん読んでくださって本当にありがとうございます。おかげで初投稿一週間で110pv以上という記録を残せました。
これからはなるべく金、土、日のどこかで投稿するようにします。暇潰しゲーの広告の間にでも読んでくれると嬉しいです。