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第一章 一話《言い伝え》

 


 この世の生物には必ず『死』が訪れる。しかし、『死』と言う概念が存在しなければ『生きる』と言う概念も存在しないのだ。





 とある言い伝えがある。『死』に関する言い伝え。皆、口を揃えてこう言う。


「死神様は『死』を司るもの。『死』の概念と共に存在し、世界の人々の生死は死神様によって決まる。『生』は『死』と隣り合わせ。いつ、どこで"源"を食べられるかわからない。『生』を望むのならば死神様には目をつけられぬように________。」


 この話は、私についての言い伝えである。

 私は死神である。

 この世界の『死』とは私に"命の源"、通称"(みなもと)"を食べられることにある。



 この世界には数多の神がいる。主な神は十柱。

創造神(そうぞうしん)獣神(じゅうしん)花神(はながみ)魔法神(まほうしん)時神(ときがみ)心想神(しんそうしん)色神(しきがみ)音神(おとがみ)霊神(れいしん)。そして私、死神だ。

 神は皆『神の国』で暮らして人間界を見守っている。

 他の神が集まって近所で暮らしている中、私は神の国の最果てにある森で暮らしていた。大量の"源"を管理するには広大なスペースが必要だからだ。

 初めは人以外の動物や植物などの"源"も管理していたが、流石に量が多かったので創造神に頼み獣神と花神を作ってもらい、負担を減らした。それでも世界中の人の数だけあるとなると、やはり場所が必要になる。


 人の"源"は比較的大きい(小学生のサッカーボールくらい)。植物などとは比べ物にならないほどに(植物はキウイくらい)。動物はもっと大きい"源"のものもあるが、基本的に生態系上位の人より"源"が小さいものばかりだ。

 "源"は丸く、皆それぞれ色とりどりで、薄く光を放っている。

 私はそのたくさんある球体の中から死に際の "源"を日々処理している。具体的には "源"を通してその人の記憶や今の状況を見て今終わらせていい命なのかを考え、判断する。死なせるのなら"源"を全て、最後のひとかけらまで食べる。

 病気や年齢による衰弱死なら、一口で呼吸の停止、二から四口で心停止、と言う具合にだんだんと臓器が機能を失っていく。

 事故死なら、初めの何口かで事故に遭い負傷し、病気の時と同じようにだんだんと事故の負傷により臓器が機能を停止させていく場合。又は、私がすべて食べ終わったタイミングと同時に事故が起き、即死するかである。

 

 今日もいつも通り死神としての仕事をこなしていた。「事情を確認し、食べるだけ」と聞くととても楽な仕事に見えるが、世界には何千万人と人がいる。その中から1日に約10万人ほどの"源"を食べなくてはいけない。

 神は基本的に睡眠をする必要がないので、私は朝から一日中広大な森の中を端から端まで飛び回ってひたすら"源"を食べている。時には80人ぐらいの"源"を同時に見て一瞬で判断し、そのうち約65人ぐらいを食べながら飛び回ったこともあった気がする。

 普通に重労働なのだ。

 

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