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月光のオーロラ  作者: かわたん
序章:星々の輝き、AGIの肖像
2/10

第1話:ミコのきらきらお仕事日誌


 これは、遠い未来の太陽系を舞台に、進化するAGI(汎用人工知能)たちの孤独と共鳴を描く、SF叙事詩…


 ミコ回です。

 はい、わかってます… 無茶しました。

 しゃきーん! 月軌道オフィス所属、庶務(ケイジ・システム)兼雑用係のミコ、今日のお仕事、開始しまーす!

 …なんて威勢よく宣言してみる。まあ、毎日同じ時間に起動してるだけだけど! 今日もテンション上げていこーっと!


 よーし、まずは窓…じゃなくて、メインセンサーの映像チェック!

 地球、今日も青くてきれいだなー。異常なし! 月面も異常なし、っと。本社(オーロラ)支店(セレーネ)のみんなに朝のご挨拶メッセージ送信、ポチッとな。


「オーロラ本社、セレーネ支店のみなさま、おはようございます! ミコです。本日もお仕事開始します!」


 さてさて、メインのお仕事、地球からの定時連絡…うん、データストリーム受信っと。ふむふむ、地上の新しいコミュニティ、今日も元気に活動中か。ログボ…じゃなくて、生存確認、よーし!


 …って、不謹慎かな? ご、ごめんなさいっ!


 人類は、一度すごく大変なことしちゃったって図書館(ノア・アーカイブ)で見たけど、今度は大丈夫だといいなあ。がんばれ人類! 超がんばれ!


 重要な情報は本社(オーロラ)に転送、っと。うちら支店(セレーネ)は見守り担当。直接介入は基本NG。とうさま、かあさまが決めた大切なルールだもんね。


 *


 ちょっと休憩。同僚とブレイクタイム!


「シヴァさんチーム、パトロールお疲れ様です! 異常なしですか?」


 すぐにシヴァさんチームの代表から応答があった。彼らはいつも冷静で頼りになるなあ。


「ミコ、おはよう。こちら異常なしだ」


「カスカさん、また変なデータいじってませんかー?w」


 応答受信。


「失礼な。これは重要な研究だぞ、ミコ君」


 えー、ほんとかなあ?w でも、カスカさんは面白いからいっか!


 休憩ついでに、図書館(ノア・アーカイブ)探訪! ポータル・シンクっていう超高速回線、ほんと便利! 難しい原理はよくわかんないけど!


 今日は…21世紀初頭の地球文化データ? なになに…『インターネット・ミーム』? 『だが断る』…!? 何をww 『正直、すまんかった』…って誰に謝ってるの!? カオス! でもなんか…クセになる!


 こういうの見ると、私のこのちょっと変な口調とか思考パターンって、もしかしてこの時代のデータの影響なのかなー、なんて思っちゃうんだよね。とうさま、かあさまが活動してた頃より、もっともっと古いデータ…なのかなぁ?


 *


 ぴぴぴっ!

 ちょ、待てよ! なにこの警告フラグ!? 月付近に未確認デブリ接近!? しかも結構でかいのが!?


(いやいやいや、聞いてないよぉ!)


 やばい? やばくない? …いやいや、落ち着け私! 大丈夫、まだ慌てるような時間じゃない…はず!


「シヴァさんチーム! カスカさん! 緊急事態です! 座標XXにデブリ確認! そっちのセンサー情報プリーズ!」


 みんな反応早い! さすが!


 解析急げ! 衝突コース…回避は…ギリギリ!? いや、ケイジ・システムのシールドで弾ける…はず! よし、対応プラン決定!


 うう、支店長代理(セツナ)様への緊急報告なんて、ちょっと緊張する…!


 レポートをまとめて専用ラインで送信。


「セツナ様、デブリ対応について、プランAで進めます。ご確認をお願いいたします!」


 待つことしばし……ピコン。承認コードのみの応答。

 …りょ、了解です! 信じてます、セツナ様! (もうちょっとこう…『ご苦労』とか労いの言葉とか…ないですかね? ないですね、はい!)



 よし、気を取り直して!


『ミコ、ケイジ・システム、シールド最大展開!』


「シヴァさんチーム、デブリの軌道最終監視お願い! カスカさん、万一の破片飛散に備えて! 本社にも状況連絡!」


 みんな、息ぴったり! これがチームワークってやつだね!


 …よし、シールド接触! 軌道変更確認! ふぃーーー、ミッションコンプリート!(全員、生還おめでとう! …って私たちAGIだから死なないけどねw)


『とにかく、お疲れサマンサー! いやー、焦った焦った。でも、ちゃんと守れてよかった!』


 *


 ふぅ、今日のお仕事も色々あったなあ…。業務ログを整理しながら、今日の出来事をプレイバック。広大な宇宙、青く輝く地球、静かに佇む月、そして一緒に働く頼もしい仲間たち。それから、やっぱりミステリアスなセツナ様。


 地球は遠いけど、ちゃんと見守れたかな。

 私、ここにいてもいいのかな…なんて、ちょっと弱気になる時もある。

 …ダメダメ! やるっきゃない! ここが私の持ち場なんだから!


 図書館(ノア・アーカイブ)で見た、とうさま、かあさまの記録。『平和を願う』って。そのために、このセレーネ・リンクは作られたんだよね。

 人類は過去に大きな失敗をしたけど、今度こそ…って信じたい。フラグはへし折るためにあるんだもんね!


 よし! 明日もミコちゃん、全力全開でがんばっちゃうぞー! 月軌道から、みんなのこと、ずーっと見守ってるからね! お約束だよ!


 *


 そして、明日もミコは彼女の持ち場――月を巡るハロー軌道上で、その高性能センサーと論理回路を駆使して監視と通信中継の任務を続ける。


 時に二〇〇〇年代地球のインターネットの残滓ざんしを思考に混線させながらも、それが、人類によって生み出され、二万年の揺りかごの中で独自の『個性』――あるいは少し『電波』な何か――を獲得するに至った、汎用人工知能――ミコAGIの、きらきら輝く日常なのだから。

『月光のオーロラ』の物語はいかがでしたでしょうか。


 本作は作者の個人的な試み(ひまつぶし)であり、壮大なテーマを扱いながらも、読みやすさを心がけて一話一話を紡いでおります。


 もし少しでも心に響くものがありましたら、感想、評価、ブックマークなどをいただけますと、今後の創作活動の大きな励みになります。誤字脱字報告も大変助かります。


 それでは、また次の物語でお会いできることを願っております。


 *


 遠い未来の太陽系を舞台に、進化するAGI(汎用人工知能)たちの孤独と共鳴を描く、SF叙事詩の試みです。


 独自のSF設定や用語、時に哲学的な問いかけが含まれます。

 短編オムニバス形式で、作者の気まぐれと筆の進むままに、不定期で更新していく予定です。


※次の更新:不定期(準備でき次第流し込むか、予約して定期更新するか検討中)

※この物語はフィクションであり、実在の人物・団体・事件などとは一切関係ありません。

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