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その視線

作者: 相内 充希

ねえ、その視線の意味に気づかないなんてことがあるのかな?

窓の外では風に舞う桜。

新しい教室。

君は恋に落ちてたね。


ひりつくようなその視線。

傍観しているだけの私には

こんなにはっきり見えるのに、

誰も気づかないなんてありえるの?


なんでもないように振る舞う君。

その視線に気づかないあのコ。

クラスメイトも気づいてないの。

ねえ、嘘でしょ?


熱さえ感じそうなその視線。

包まれたなら、あのコはきっと幸せね。

傍観している私にだってわかるのに、

ねえ、本当に誰も気づかないの?



チラチラ彼を気にし始めたあのコ。

なのに、どうしてすれ違う?

じれったくてたまらない。


受験が終わって卒業式。

君とあのコが手を繋いでいる。

やっとまとまったと安堵する私。

皆はなんで驚くのかしら?

彼は最初から

あのコしか見ていなかったじゃない。


触れられそうな視線。

温度さえ感じそうな恋心。

見えないほうが不思議なの。

気づかないなんてあり得ない。


あり得ないはずだったのに……


ふいにこぼれる涙。

そうよ、私は気づいてなかった。

自分の視線なんて見えなかった。


気持ちは胸の奥で絞り上げられ、

涙に変わって溢れてく。


でも今日は見られたって構わない。

だって卒業式だから。


ねえ、誰も気づかないで。

あのコを好きな君が好きだったの。


不毛すぎるこの心だけは

お願い

誰の目にも見えてませんように。

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― 新着の感想 ―
窓の外を風に舞う桜と、新しい教室、そして目で追ってしまう君の視線。春の爽やかな情景に冒頭から惹き込まれました。 いつしか気づく、「自分の視線」がとても印象的です。視線という目には見えないものが、言の…
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