第六章〜復讐
「なに!それは本当なのか?リアルな話なのか?それは凄まじいな。そんな仕打ちは・・・。それがもし本当ならマジ許せんわあり得んわ。あー胸糞わりぃ。現実の話とは思えんくらいだわ。マジ」
秀次郎は、どこで憶えたのか、元ゴキブリには似つかわしくない若者言葉で怒りを顕にした。
「ある意味ではオレたちゴキブリが常日頃、受けている迫害以上のものがあるぞそれは。酷いんでないかい?」
「ああ・・・。まあま、でも、ある意味慣れっこだから、それほどには、なんとも・・・。君が受けてきたこと程ではないのかもしれないし・・・」
ヤスオの方が逆に引いてしまって、そんなふうに彼を落ち着かせようとするのであった。
ところが、
「なにを言ってるんだヤスオといえ男は。おとこというものは怒る時には怒らなきゃ駄目なんだぜ。わかるかい?オレには底辺の気持ちはわかりすぎる程、わかるんだよ。いいかい?」
と、秀次郎ももはや熱を持っていて、引く気配もない。やがて、彼は言った。
「ヤスオがそんなふうに弱気で何も出来ないのならば、オレが代わりになんとかしてやるよ。いいな?君はただ、見ているだけでいいから」
ヤスオはそれに応える。
「え?で、でも、さ。でも、僕は、一度は君を叩き潰してしまった人間だよ。なのに、なんでそんな僕のために?」
聞いて秀次郎は、へと笑ったようであった。