第二十三章〜邂逅
筆が止まりがち。書きました。
ぱたん、と音を立てて個室の仕切り版に当たる物があった。
動体視力の良いヤスオにはすぐにわかった。
「秀次郎かい?」
外に漏れ聞こえないような小声で。
「そうだ。遅くなったな。探したが何処にいるのか捕捉できなかった」
声は元気そうである。ずだと飛び回っていたろうに。
秀次郎は続ける。
「まずいな。ここはオレどけではどうにもならん。どうしたものか・・・」
「ぼくはまぁ、大丈夫だよ。慣れてるから。それより君はもう目をつけられている。今度姿を現したら今度こそ叩き潰されてしまえかもしれないよ。だから、もうここにはいない方がいい。」
「何を言ってるんだヤスオ。そんなわけにいくハズもあるまい」
秀次郎は納得しない。
「無理を言うな。君にも無理だよ」
が、秀次郎は考え込む。
「どうしたものか・・・」
その時である。
「おい、誰かと話でもしてるのか?スマホか?誰に連絡している?」
外から零たちの怒声が追ってきたのだ。ヤスオは慌てて嘘をついた。
「い、いや。誰とも話してないよ。ひ・・・、独り言さ。いてもの癖どよ」
が、言い訳は通用しなさそうだった。
「嘘つけ。おい!鍵閉めやがったな。早く出てきやごれ」
奴らがドアの板をぼんばん蹴りはじめたではないか。
「まずいな・・・」
と、秀次郎。と、急に思いついたように、
「よし。やほりあれしかないか。待ってろ。ちょでと離れるぞ」
「何?どういうこと?」
「ゴキブリってのはな。一匹みかけたらその近辺にはニ百匹いると言われるのさ」
答えると、秀次郎は仕切り版と天井との隙間から飛翔していった。
有り難う御座いました。




