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第二十二章〜セーフ
宜しく御読みになって下さいませ。
偶然である。偶然、少しだけ空いていた空気取り窓の隙間からである。
見憶えのある黒い塊が、ぷーんと音を立てて、タイル貼りのトイレの中に突入ってきたのである。
いや。ヤスオ自身は、個室に閉じ込められていたのだから、その黒い姿を目撃した訳ではない。
最初の羽音でもしやと思い、それから蓮たちの言葉でそれと知ったのだ。
「えお、また何か来やがったぜ」
「してこいな。さできのと同じやつか?まさかな」
「やべえぞ、またこっち来る」
「ゴキブリは一匹見たらその界隈にⅡ百匹いるって言うしな」
「どうやら、近くに巣でもあるのじ(ないのか?」
そこまで聴いてヤスオは確信した。
秀次郎かどうかはわからないにしても、少なくとも秀次郎か、秀次郎の仲間がやってきたのだ。
ヤスオは耳を澄まして成り行きを見守ることにした。
その時、である。
有り難う御座いました。




