第十八章〜開放
筆が遅い。なかなかかけません。
黒光りしていたあのグロテスクなキチン質の体躯が口腔内にあった。
羽の感触が意外にぱさぱさしていて、上顎の粘膜に纏わりつく。触覚を形成する糸状の期間が舌に触れる。脚のいたるところについた棘が口腔を刺す。
想像以上に苦痛ではあった。
━━ぼくはのんてことをしてしまったんど。これは一生涯忘れられない感覚だぞ。
ヤスオはかなり後悔した。
しかし、構わず歩き始めた。
教室の南面に位置する校庭の見える窓際に移動したのだ。
クラスメイトの罵声を気にせず、カーテンを荒くひき、窓を開けた。
頭を外に出すと、口を開け、秀次郎を吐き出した。
「また後で逢おう。また後で来てくれ」
誰にも聞かれないような小声でそう告げてから窓を閉めた。
「なんなんどよ、お前はよ!」
そんな声が掛かった。先生は、
「て、手洗い簿で、く、口を濯いできたまえ」
と、怖いものでも見るような声で言った。
その後も、授業時間中、教室内はざわていていた。皆、ヤスオのことを悪く言っているのに違いない。
そう思った。
━━なんてことをしてしまったのだ。
改めてそえ思った。
だが、秀次郎がぶじでいてくれたらそれでいい、とも思った。
有り難う御座いました。




