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第十三章〜混乱

宜しく御願い申し上げます。

「おい!平木(ひらき)君!どうしたというのだね?」

教壇の上から先生がまた声を上げた。手には黒マーカーが握られたままだ。

だが、取り乱した平木零の耳には声は届いていないようだった。

「うあああ」

などと呻きながら、手の届くことのない自らの背中を()きむしろうとするような動きを見せていた。

背中に突然、乱入した(おぞ)ましい異物の存在。得体のしれない生物の感触。

もしかしたら、その正体は見ずともなんとなくわかるものなのではないのか?   

それは、さぞ耐え難い感触であろう━━。

━━よけやってくれている!秀次郎!うまいぞ!零のヤツ、ざまあ!

ヤスオは心の中でほくそ笑んだ。

しかし、散々されてきたことに対する復讐としてはまどまだ生ぬるい━━。

そうも思っていた。

もっと烈しく!もっと厳しく!もっと残酷に!

ヤスオは秀次郎にそう伝えたかった。が、声は出せない。

もどかしい。

それでもこの爽快感。達成感!やはり癖になりそうだった。

零が自分の椅子から転げ落ちそうになりなごろのたうち回っている。

「ご・・・、ご、ご・・・。これはきっと、ゴキ・・・」

零が何かを伝えようとしていた。正体に気づいたのか?その時、零の真後ろの席に着いている女子生徒が片手をあげて声を発したのだ。

「先生、わたし、見ました。はっきり見たんです。」

じたばたする零の後ろ姿はその言葉の続きを聞きたくはなさそうに見えた。おころご、女子生徒は遠慮もなくはっきりと言い放った。

「ゴキブリでした。ゴキブリが平木君の背中に入ったんです。いやだわ!わたし、耐えられません!見ちゃった!汚らしいわ、イヤ!」

有り難う御座いました。

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