第九章〜復讐のはじまり
宜しく御願い申し上げます。
ヤスオは秀次郎の気配をバッグの中に感じながら、いつになく力強く校舎の昇降口へと入っていったのである。
ところが、である。
履いていたスニーカーから、校内用の上履きに履き替えた瞬間である。
「うぐあっ」
ヤスオが突然悲鳴をあげてその場に倒れ込んだのである。ばたんという大きな音を立てて。
「ど、どうした!?ヤスオ?」
ファスナーを閉めたバッグの中に閉じ込められた状態の秀次郎には、外の様子のわからないものだから、心配して声を上げたのだ。
「いったぁ」
ヤスオの小さい悲鳴が聞こえる。
「何があった?」「いや、ね。靴の中に画鋲が入っていたんだよ。脚の裏に、刺さっちゃってさ・・・」
あまりの痛さに、事実を隠すことも出来なかったヤスオが呟くように。
「なんだと?どういうことだ?大丈夫か?そういうのは、人間界では普通にあることなのか?そんなことはあるまい?オレもゴキブリを長くやってたが、靴の中に画鋲を見つけた経験などなかったと思うぞ」
秀次郎の声の声から興奮しているのを感じた。
「ああ」
ヤスオも隠すのを諦めた。
「それが奴らの嫌がらせのひとてなんだな?そうだな?何者かが仕込んだ画鋲なのだな?」
畳み掛けるよえに秀次郎が訊いてきた。
「まあ、そうだ。そういえこと。だけど、いてものことど。慣れてるから平気だよ」
安心させるように。だが、
「大丈夫なわけなかろう?オレも人間経験浅いからどれだけ痛いのかとかわからんが、たいへんなことに思えるぞ」
「まぁ、な」
「許さん!奴らめ!行くぞ!今から教室に向かうのだろう?行くぞ!」
「ああ」
ヤスオも覚悟を決めた。やり返せば報復が余計に怖いのかもしれないが、秀次郎がいてけれたらなんとかなるような気がしてきた。
ヤスオは靴から取り出した血液の着いた画鋲を投げ捨てて、教室への階段を昇り始めたのだった。
有り難う御座いました!




