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寄り道好きのユキ  作者: ソドムとゴモラの獣
アンテスロム氏族
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シーン3

リリィを仲間にしたユキは、ダンから一連の指導を受け終わったユキの下僕である、狐族の隊員のジルアに誘われ、酒場に足を運んだ。


─────酒場─────


ジルア:

「おぉ!

良く来てくれたね!

ささっ、じゃあ乾杯しようか。」


ジルアは既に卓についており、自分の分とユキの分のジョッキを用意してスタンバっていた。


ユキ:

「・・・。」


ユキは無言で卓につくと、ジョッキに注がれた液体を見た。


一見、ただの定番の蜂蜜酒が入っているだけのように見える。


ユキはジョッキを手に取り、中身の匂いを嗅いで・・・鼻で嗤った。


ユキ:

「・・・乾杯。」


ジルア:

「乾杯・・・。」


ジルアはジョッキを少し傾けるだけで、その目はユキを注意深く観察している。


対するユキは、少しも気にすることなく蜂蜜酒を一気飲みした。


ユキ:

「・・・っぷは。

かなり強い植物性の遅効毒ですね。

即死毒じゃなければ効くとでも思ったんですか?」


ユキは余裕タップリに そう言った。


対するジルアは滅茶苦茶悔しそうだ。


ジルア:

「クソッ、この毒を致死量まで集めるの大変だったのに・・・!」


ユキ:

「はい、掛け金。」


ジルアは しぶしぶポケットサイズの革袋を取り出した。


中身にはギッシリ砂金が詰まっている。


日本円にして数百万円規模の貴重品だった。


ユキ:

「いや~助かりますよ。

先程 同じくらいの価値の物資を散財してきたところだったので。

はぁ~、私くらいになると価値の方から集まってくるんですよねぇ~。」


ジルア:

「・・・次こそ・・・次こそ殺す・・・絶対殺す・・・!!」


ジルアはヤケを起こしたギャンブル中毒者のように言った。


ユキ:

「期待してますよ。」


それに対してユキは余裕綽々である。


煽りなのか、ジルアが手間暇かけて作った猛毒が入ったジョッキを再び呷り始める始末である。


ユキ:

「それにしても・・・貴方達の組織もヒマですよね。

こんな辺境の十人隊長ひとり毒殺するのに、こんな金と時間と人を浪費するなんて。」


ジルア:

「俺っちが知るかよ。

上からユキって奴を暗殺してこいって言われただけだし。」


ユキ:

「まぁ、刺殺も撲殺も毒殺も出来なかったから、貴方はこうして場末の酒場で管を巻くことになったワケですが。

それにしても名指しとは嬉しいですね。

何です?

裏社会ではそんなに私が有名ですか?」


ジルア:

「さぁ・・・俺っちてば末端の構成員だから?

上層部の話題で何が有名で無名かなんか知らねぇなぁ・・・。」


ユキ:

「まぁ、そうでしょうね。」


ユキのジョッキが空になった。


ユキ:

「アビエド(酒場の店主)!

今度は果実酒を新しいジョッキでください!

古いジョッキは捨てちゃってください!

毒入りなので!!

あと、掃除道具も借して下さい!」


アビエドは無言のキレ顔でユキを睨み付けた。


しかし哀しいかな、酒場の店主の習性で注文通りの品を届けてしまう。


一応、ユキは通常の果実酒の価値と新品のジョッキの価値にプラスで色を付けてアビエドに物資を手渡す。


アビエドは「当たり前だ。」と言わんばかりの顔でそれらをふんだくっていった。


ついでにバケツやモップなどの掃除道具を置いていく。


それを受け取ったユキは、それらを卓の端に掛けると不気味なまでにニコニコし始めた。


それを見たジルアはビクッとする。


ユキ:

「ところでジルア?

私、実は貴方の上司に会ったかもしれないんですよ。」


ジルア:

「え?

マジで?」


ユキ:

「えぇ、そこのクソアマなんですけど。」


ユキが指を指した方向には、深めにフードを被って顔を隠した女が座っていた。


???:

「チッ、なんで分かったんだい?」


女がフードを取ると、そこには先日まで行商人をしていたティアの姿があった。


ユキ:

「フフ、真後ろに如何にも怪しい人間が座っていたら、誰でも勘繰りますよ。

そして、そんなことをする心当たりがあるのは、私の中では貴方だけです。」


ユキは席を立つと、ティアの真後ろに立った。


ティア:

「フン、アンタのことだ。

いつかはバレると思っていたが、これほど早いとはね。」


ユキはティアの肩に手を掛けた。


ユキ:

「フフン、私に恐れおののくがいいです。

・・・まぁ、そんなことよりティア?

先日教えて貰った情報・・・古かったのか知らないですけど、部隊の規模が数倍以上違ったんですけど・・・何か弁明とかあります?」


ティア:

「あぁ、そのことかい。

それはアンタには偽情報を掴ませた方が面白そうだと───イダダダダ!」


ユキ:

「私・・・情報が間違ってたら手間暇かけて殺すって言いませんでしたっけ?」


そう言いながら、ユキはティアの首に手を掛けて強く締める。


ティア:

「グェ・・・そうだったかね・・・。

でも、面白かっただろう?」


ユキはニッコリと笑った。


ユキ:

「そうですね。

罠が無いって言っていたのにあからさまな罠があったり、部隊規模が百人隊どころか五百人隊だったり、退屈はしませんでしたよ。

お陰で初めて手に入れた五人隊を全滅させるところでしたけどね・・・。

全く、ダフネルの見繕った4人の悪運が強くなければどうなっていたことか・・・。」


ユキは手の力をより強めた。


ティアの首はミシミシと言い始める。


ジルアはこれから何が起きるのか察して、卓から少し離れた。


ティア:

「ヒヒ・・・全滅してたら・・・きっとアンタはもっと怒ってて・・・楽しかっただろうね。」


ユキ:

「フフ・・・懲りないクソアマですね。」


会話の内容だけなら、穏やかな会話。


だが次の瞬間、ティアの首がユキの怪力に耐えきれずに千切れ、ティアの卓の周辺を真っ赤に染めた。

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