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寄り道好きのユキ  作者: ソドムとゴモラの獣
アンテスロム氏族
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シーン2

デナグドから良いことを聞いたユキは、狼具の取り付けや、狐族の隊員たちの指導など、細々とした物事を副官のダンに押し付けると、その足でリリィの下へと向かった。


─────薬屋─────


ユキ:

「こんにちは、ディブロ。

リリィは元気になりました?」


ディブロ:

「あぁ、ユキちゃん。

へへ、すっかり元気になったよ。

丁度、今帰って来たところでね。

是非会っていってよ。」


相変わらず怪しげな笑みを浮かべる(本人は親愛の笑みのつもり)ディブロに導かれ、薬屋の奥へと入る。


そこでは1人の娘が狩の道具を床に広げて点検しているところだった。


独特の雰囲気というか威圧感のある娘で、切れ味の良いナイフのように近づき難いオーラを醸し出しているのだが、ユキはそれを全く意に介さず、無遠慮に肩をポンポンと叩いた。


娘は集中していたのかビクッとした後、背後に不気味なほど満面の笑みを浮かべているユキを認めると、諦めたような表情を浮かべた。


そして次の瞬間、ユキの拳で娘は吹き飛んだ。


あまりの勢いに、娘の身体が壁に叩きつけられる。


ユキ:

「心配しましたよ、リリィ。

元気そうで何よりです。」


リリィ:

「・・・ぐふ・・・心配かけたね。

でも元気かどうかは怪しくなったよ・・・。」


娘ことリリィはバタリと倒れた。


しかしユキはそれを許さず、胸ぐらを掴んで立たせると、話を続けた。


ユキ:

「貴方が心配していた余所者の件ですが、私がキチンと始末しましたよ。

貴方を襲ったであろう五十人隊は、全て始末して首を晒しました。

褒めて下さい。」


リリィ:

「へー・・・凄い凄い(精一杯褒めてる)。」


ユキ:

「フフン、そうでしょう、そうでしょう。

これで貸し一つというワケです。

そんな私から、貴方に頼みがあります。」


リリィ:

「・・・何?」


ここでようやくユキはリリィの胸ぐらを離し、座らせた。


既にリリィは若干ぐったりしている。


ユキ:

「貴方、私の部下になりなさい。」


リリィ:

「断る。」


ユキ:

「ふむ、何故です?」


リリィ:

「私が貴方の役に立てるとは思えないから。」


ユキ:

「それを決めるのは私です。

貴方に必要なのはやる気だけです。

ホラ、やる気出して。」


リリィ:

「やる気って言われても・・・。」


ユキ:

「え?

まさか恩人に対して恩を返そうってやる気も起きないんですか?

それはきっと”恩知らず病”っていう病気ですよ。

やる気が出るまで、私の極め技で治療した方がいいですね・・・。」


ユキはリリィの腕の関節を無造作に極めた。


リリィ:

「イタイイタイイタイ!

分かった、部下になる!

なるから!」


ユキ:

「お、よかった治療が効いたみたいですね。

これも貸しですよ?」


リリィ:

「相変わらず強引。

・・・それで、私は何をすればいいの?」


ユキ:

「裏方の雑用ですよ。

今のところ主な業務は”諜報”と”金策”です。

とりあえず、私の手元から幾らか元手を出しますから、それを使って商売をして下さい。

そして商売で出た儲けを私、ひいては私の部隊に還元するんです。

これが”金策”です。

そして”諜報”ですが、こっちは指示を出すまで何もしなくて良いです。」


リリィ:

「ふむ、つまり貴方の影になれということ?」


ユキ:

「そうです。」


リリィ:

「・・・確かに承った。

私は貴方の影になる。」


ユキ:

「そこまで肩ひじ張らなくても大丈夫ですよ。

結局のところ、暫くは金策要員ですし。

・・・部隊を支えるのに狩りだけの利益では限界がありますからね。」


リリィ:

「商売もそうだけど、仕事をするには人を集める必要がある。

・・・私の独断で人を増やしても構わない?」


ユキ:

「えぇ、構いません。

そちらの組織は全て貴方に任せます。

ダフネルが唸る その才覚を遺憾なく発揮して下さい。

期待していますよ。」


リリィ:

「私の話・・・ダフネル先生から聞いたの?」


ユキ:

「えぇ、貴方が同僚の千人長にボロクソにされたとこまで じっくり。」


リリィ:

「・・・恥ずかしい。

忘れて欲しい。」


ユキ:

「嫌ですよ、面白いですし。

それより何時か、その辺りの話を聞かせて下さい。

そのザコさで、何故不得手な一騎打ちを挑んだのかも含めて。」


リリィ:

「・・・嫌。」


ユキ:

「フフ・・・今はそういうことにしておきましょう。

いつか話して貰いますからね。」


ユキは不敵に笑うと、その場でリリィに軍資金として日本円で数百万円分にも及ぶ物資を渡した。


少ないかとも思ったユキだったが、リリィが問題ないと言うので、任せてみることにした。

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