シーン4
・騎獣の種族の普通表記を、「狼」から「大狼」に変更。
<あらすじ>
狐族とユキの関係について話した。
その後、流れるように狐族の集落へと向かう。
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騎獣の大狼に乗って、ユキ達は狐族の集落へと向かう。
狐族の集落はアンテスロム氏族の集落の中でも小高い丘に寄りかかるようにして築かれている。
─────狐族の集落─────
狼族の戦士達が訪れたというだけあって、最初こそ変な目で見られたユキ達だったが、騎獣から降りてユキが手を振ると、何事も無かったかのように狐族の集落は日常を取り戻した。
ユキの部下達は、自分達の知る狐族の集落と違う、穏やかな活気に目を白黒させた。
ユキが狐族の集落に入って暫くして、一人の狐族の少女が声を掛けてきた。
???:
「姐さん!
お久しぶりです!」
ユキ:
「おう。
元気にしてましたか?負け犬。」
???:
「うす!
俺は元気です!」
赤毛の狐族の少女は、ユキと親しげに会話を交わす。
部下達が、(誰なんだろう?)と訝しんでいると、ユキが狐族の紹介を始めた。
ユキ:
「あぁ、悪いですね。
コイツは私の妹分のギーリというアホです。
口を開けばバカなことしか言わないので気を付けて下さい。」
ギーリ:
「お前ら!
俺の方が姐さんと仲良いんだからな!」
ユキはギーリの後頭部を ひっぱたいた。
ユキ:
「・・・その頭悪い発言をするクセ、次会うときまでに治しとけって私言いませんでしたっけ?」
ギーリ:
「うぅ・・・姐さん、すみません・・・。」
ユキ:
「まぁ、貴方がアホなのは今に始まったことじゃありません。
それより お遣いを頼みたいのです。
貴方を含めた例の4人を召集して下さい。
私は先生のところで待っています。」
ギーリ:
「!
姐さん、それは!」
ユキ:
「二度は言いません、早く行きなさい。」
ギーリ:
「はい!」
ギーリは風のように集落の喧騒に消えていった。
ミランダ:
「元気だねぇ~。」
ダン:
「・・・嵐のような奴だったな。」
ユキ:
「そうですね。
でも悪いことばかりでは無いんですよ?
態度の悪い店屋とか行くと、言いたいこと全部言ってくれるので助かります。」
ジャグ:
「かなり限定的な状況じゃない?
助かるタイミング。」
ユキ:
「言われてみれば・・・。
しかもそれ以外は こっちを巻き込んでケンカ吹っかけて回るので、合計ではマイナスですね・・・。」
ジャグ:
「迷惑!」
ダン:
「そんなことより、俺はお前が本当に狐族に受け入れられてるのが驚きだがな。」
ユキ:
「急に話題を変えますね・・・。
フッ、これこそが私の人徳がなせるワザなのですよ。」
ジャグ:
「ちなみにギーリちゃんとの馴れ初めは?」
ユキ:
「なんか・・・ボコボコにしてやったら懐かれました。」
ジャグ:
「暴力じゃん。」
そんな会話をしていると、ユキ達は一軒の家の前に立った。
その家は他の家に比べると明らかに大きく、外装こそ質素だったが、大きさだけで言えば屋敷と呼んで差し支え無いものだった。
─────賢狐の屋敷─────
ユキ:
「レアクぅ~、居ますかぁ~。」
屋敷の扉を開け放ったユキが、猫撫で声で言い放つ。
屋敷の内装も外装と同じく質素で、何も無い大広間は、質素というより殺風景という表現の方が近い。
屋敷内に飲み込まれていったユキの声は、少し経って一人の少女が出てくるという形で帰ってきた。
狐族としてはオーソドックスとも言える金髪を後ろに結んだ狐族の少女は、少し迷惑そうにユキに声を返す。
レアク:
「何?ユキ。」
その手には箒が握られており、掃除中に突然呼びつけられたという感じらしい。
ユキ:
「おぉ、レアク。
紹介しますよ、こいつらは私の部下です。
左から順に、ダン、ミランダ、ジャグ、ビンドです。
仲良くしてやって下さい。」
レアク:
「初めまして、レアクと申します!
この度はウチのユキがご迷惑を掛けているようで・・・。」
ダン:
「いえいえ、仕事ですから。」
ミランダ:
「そんなことないよ~。」
ジャグ:
「最初に言うことがそれなんだ・・・。」
ビンド:
「ここに荷物置いていい?」
レアク:
「どうぞどうぞ。
どうせ何もありませんので!
・・・それで?ユキ。
部下の方々が出来たのは分かったけど、先生に挨拶はしていかないの?」
ユキ:
「勿論していきます。
むしろ、初級魔術以上の何かを教わりに来たところです。」
レアク:
「あぁ、あの”戦士になるまでは初級魔術以上を覚えることを禁ずる”っていうエディ様の戒めは解けたワケだ。
それなら先生も快く教えてくれると思うよ。
・・・ところでユキ。
話は変わるけど、ここに来たってことは例の話が?」
ユキ:
「その通りです。
後で他の4人も来ます。
私不在のときは、このダンが隊の指揮をとりますので、話は このクソ真面目に通しておいて下さい。」
ダン:
「オイ。」
レアク:
「分かった。
クソ真面目さんに話しておけばいいのね。」
ダン:
「レアクさん!?」
ユキは我が意を得たりと言わんばかりに満足気に頷くと、勝手を知った様子で屋敷の奥へと歩いて行った。




