シーン3
・魔法や、一部戦技に含まれていた魔力の概念を、「魔術」と「魔法」という形で分離・体系化。
「魔術」:
呪文を唱えることで発動する後天的技術。
魔法ほど強力ではないが、汎用性が高い。
「魔法」:
先天的に使える不思議な能力。
汎用性が低いが、ものによっては呪いに思えるほど強力。
<あらすじ>
兵站について偉そうに語ったユキ。
見事に舐められる。
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ユキ:
「さて、そろそろ行きますか・・・。」
ユキは食事を終えると、ビンドに手伝わせて、そそくさと出発の準備を始める。
ユキ:
「貴方達も準備して下さい。
遅れたら、そのまま置いていきますからね。」
その一言で、全員が一斉に動き出す。
ダン:
「・・・っと、ちなみに何処に行くんだ?」
ユキ:
「狐族の集落ですよ。」
ダン:
「・・・そうか。」
ユキ:
「なんです?
何だか気まずそうですね。」
ダン:
「まぁ、普段の扱いが扱いだからな。
正直、あまり近寄りたくない。」
【Tips】
狐族は基本的に狼族の従僕。
あまりお互いに良い感情は無い。
ユキ:
「確かに貴方達だけなら白い目で見られて終わりでしょうが、私は違います。
何を隠そう、私は昔から狐族と仲が良いのですよ。」
ダン:
「・・・。」
ユキ:
「なんですか、その”嘘臭・・・”みたいな目は!
私は本当に狐族と仲が良いのですよ!」
ダン:
「本当か?
いいか、ユキ。
お前はどこか俗世離れしたとこがあるから教えてやるが、人から物を奪うことは貰ったと言わないし、物を貰ったからって仲良しなワケでは無いんだぞ?」
ユキ:
「本当に失礼ですね!
確かに全ての狐族と仲が良いかと言われれば否かもしれませんが、それでも私は物を奪ったことは・・・無いことも無いかも知れませんが、おおよそ世間一般でいう仲良しのはずです。」
ジャグ:
「いや、物を奪ったかどうかは自信持とうよ。
大事だよ、そこ。」
ユキ:
「五月蠅いですよ、ジャグ。
ダンみたく後頭部しばかれたいんですか?」
ジャグは下手くそな口笛を吹きながらそっぽ向いた。
ユキ:
「ともかく、私は狐族と仲が良いんです。
だから、十人隊の足りないメンバーを、狐族から揃えようと思っています。」
ダン:
「良いのか?それ。」
【Tips】
狐族は基本的に、戦士になることは出来ない。
ユキ:
「私が良いと言えば良い・・・と言いたいところですが、こればかりは正式な手順を踏むようにエディ達から言われてますからね・・・。
その為の十人隊長、その為の従者の雇用権限です。
これでエディの代からの約束を果たせますよ。」
ダン:
「約束?」
ユキ:
「”狐族から戦士を輩出する”・・・という約束です。
エディが族長の頃からジワジワと扱いを良くし、都合の悪い差別を行う人間を排除し、実力主義の価値観を醸成するなどして基盤を作り、私が十人隊長になってようやく・・・。
道半ばとはいえ、ようやく部隊に狐族を入れることが出来ます。
本当に長かった・・・。」
ダン:
「まるで自分のことのように語るな・・・。
そこまで狐族に思い入れがあるのか?」
ユキ:
「物心ついた頃からエディに連れられて よく集落に顔を出しましたし、魔術の先生も居ますし、何より親友が居るから・・・そうですね、思い入れは かなり深いと思います。
狐族の地位向上についてはエディや魔術の先生から ずっと話を聞かされてきましたし、まるで自分が苦労してきたかのように言ってしまいました。
・・・これが洗脳ってやつですかね。」
ダン:
「まぁ洗脳と言えば洗脳だが、俺が思うに それは意思を継いでいるとも言える。
悪いことでは無いのではないか?」
ユキ:
「そうですね、私も洗脳だと思っても悪い気はしません。
むしろ昔から続いてきた流れを利用してやろうとすら思っています。」
ダン:
「そうだな、それがいい。
俺も正直、集落の腹に抱えている集団と不仲なのは落ち着かない気分なんだ。
これを機に少しでも仲が良くなればとは思う。」
ユキ:
「嫌でも仲が良くなりますよ。
私についてくるならね。
さ、行きましょう。」
ユキはそう言うと、ゲンタに跨がり狐族の集落へと向かった。




