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寄り道好きのユキ  作者: ソドムとゴモラの獣
アンテスロム氏族
81/110

シーン2

<あらすじ>

 敵を殲滅し帰路に就くユキ達。

 就寝後、悪夢により仲間の大半が正気を失ったので、ボコボコにして正気に戻す。


────────────────────


二日目。


災害のような悪夢の夜を乗り越え、ユキ達は朝食を摂る。


ユキ以外、皆ボロボロである。


ダン:

「神格の干渉か・・・運が悪いな。」


ダンが呟くように言った。


ユキ:

「ホントですよ。

おかげで水薬を大分消費しました。

・・・帰ったら補充しないといけません。」


ミランダ:

「じゃあ、私がやっとくよ~。」


ユキ:

「あぁ、ありがとうございます。

帰ったら必要分の物資を渡しますから、私が贔屓してる薬師に都合して貰って下さい。」


ミランダ:

「分かった~。」


ユキ:

「そうだ、あと調味料もお願いできませんか?

帰る度に塩を買おうと思っているのですが忘れてしまうんです。

他にも適当な香辛料なんかがあると食事が楽しくなると思うんですが。」


ミランダ:

「じゅるり・・・。

確かにそうだね~。

任せといてよ~。」


ジャグ:

「いいの?

塩なんて高級品じゃん。」


ユキ:

「私が良いって言えば良いんですよ。

細かいですねぇ・・・。」


ジャグ:

「ごめんって・・・。」


ユキ:

「そんなに言うなら、隊の支出はジャグに管理して貰いましょうかね。

ホ~ラ、皆で仕留めた亜竜の素材ですよ~。」


ジャグ:

「そんなに言ってないし!

いや、いらないって!」


ダン:

「皆大変だな。」


ユキ:

「なに他人事ぶってるんですか。

最終的にここら辺は貴方が取り纏めるんですからね。

分かってるんですか、クソ真面目。」


ダン:

「え?」


ジャグ:

「ダン、頑張ろうな。」


ユキから物資を無理やり預けられたジャグが、ダンに薄ら笑いで声を掛けた。


ビンド:

「ねぇねぇ、僕には何かないの?」


ユキ:

「貴方は私の雑用ですよ。

何だかんだ気が利きますからね、能天気なクセに。」


ビンド:

「わーい。」


ジャグ:

「貶されてる!

貶されてるから、ビンド!」


昨晩の悪夢は何処へやら、一頻り盛り上がった後、狼に乗って移動を開始した。


・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。


移動中、魔物に遭遇した。


遭遇した魔物は・・・雪蛙だ。


─────【ユキの手帳】─────

・雪蛙


挿絵(By みてみん)


 オイシイやつ。

舌先を凍らせて高速な刺突を仕掛けてくることに注意すれば、特に俊敏なワケでもないから恰好の獲物。

 肉はプリプリで美味しい。

ステーキにするのが一番だけど、串焼きも悪くない。


────────────────────


数は・・・17匹。


中々の量だ。


ユキ達は気配を殺して雪蛙を囲むと、ゲンタの吠える声を合図にして一斉に襲い掛かった。


少々の格闘の末、ユキ達は大量の雪蛙の肉を手にした。


怪我をした人数は・・・二人だ。


雪蛙の舌撃は速いので、ユキですらうっかりしていると一撃を貰うときがある。


とはいえ怪我だけで済んだのは幸運である。


運が悪いと舌撃で頭蓋や内臓を貫かれて致命傷を負うこともあるのだ。


ユキは患部を見て、大したことが無いと判断すると、治癒の水薬の出涸らしのようなものである治癒の軟膏を塗って対応した。


軟膏を塗ると、患部の血が止まり、肉が盛り上がり、新しい皮が張った。


とはいえ軟膏の治癒能力はそこまで高くなく、深めの傷だと上手く塞ぐことが出来ない。


そこでユキは、深めの傷は縫合して一度塞ぎ、疑似的に軽傷にしてしまうと、上から軟膏を塗って無理矢理治してしまった。


治っていく傷口から抜糸する。


すると、治癒しきる頃には糸が通った穴も塞がった。


ダン:

「う~む・・・。」


ユキ:

「なんですかダン。

その怪訝そうな顔は?」


ダン:

「その技、どこで覚えたのだ?」


ユキ:

「狐族の集落ですよ。

彼らは物知りですからね。」


ダン:

「狐族か・・・。

奴らのことを悪く言うつもりは無いが、その技は使わない方が良いぞ?」


ユキ:

「はて?

何故ですか?」


ダン:

「それは屍術士の技だ。

迫害されても文句は言えんぞ?」


屍術士とは屍体を弄ぶ魔法使いの総称で、大概が墓荒らしや殺人鬼だったり、基本的に反社会的である。


その為、屍術士と見なされるのは社会的に致命的であった。


ユキ:

「なんだそんなことでしたか。」


ダン:

「そんなことではないのだが。」


ユキ:

「逆に聞きますけど、私に迫害できると思いますか?」


ダン:

「・・・少し考えたが、迫害した連中が翌日には首だけになってるのが容易に想像出来た。

嫌なことだ。」


ユキ:

「少しは私の人徳が効くとは思えないんですか?」


ダン:

「は?」


ユキ:

「ええい、失礼な奴ですね。

私ほどの人徳(物理)があれば、私が認めた技術は屍術であろうと何だろうと善い技術なんですよ。

分かりますか?」


ダン:

「すまん、ちょっと分からん。

だが、心配する必要がないことが分かった。」


ユキ:

「それでいいんですよ。

それよりこっちに来なさい。

傷の縫合を教えてあげます。

水薬を節約できて便利なんですよ。」


ダン:

「え、俺もやるのか?」


ユキ:

「当たり前じゃないですか。

貴方が覚えて他の隊員にも教えるんですよ。」


ダン:

「えぇ・・・。」


ユキ:

「どうせ副官をやるようになれば水薬の節約について考えることになるんですから、今のうちに覚えておいて損はありませんよ。

だからホラ、早く。」


ダン:

「・・・分かった。

俺も覚悟を決めよう。」


ダンは命を賭けるような顔でユキから縫合用の針を受け取った。


ユキ:

「そこまで気負わなくても大丈夫ですよ。

さ、治療を再開しましょう。」


そう言ってユキはダンに傷口の縫合を教え始めた。


・・・。

・・・・・・。

・・・・・・・・・。


治療を終え、ユキ達は焚き火を囲む。


雪蛙の肉が皮を剥がされ、串焼きにされたり熱された石の上でステーキにされたりしている。


各々が思い思いの調理法で食べている中、ユキは雪蛙のステーキに齧り付いた。


プリプリとした肉の中から、良質な油が湯水の如く溢れ出た。


とても美味しい。


食事を終えると、夜番を決めて就寝した。

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