シーン2
<あらすじ>
氷堅頭竜に部下がボコボコにされる。
3体全部、ユキが仕留めた。
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2日目。
ユキ達は昨日の残りの氷堅頭竜の肉を食べると、騎獣の狼に乗って移動を始めた。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
ユキ達は何事もなく移動し、一日を終えた。
焚き火を囲んで干し肉を戻して食う。
夜番を決めて就寝する。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
3日目。
無事に夜を過ごしたユキ達は、狼に乗って移動を再開する。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
ユキ達は魔物に遭遇した。
遭遇した魔物は・・・氷堅頭竜だ。
・・・呪われているのだろうか。
数は・・・2体だ。
番いだろうか。
ユキは部下達に指示を出し、部下4騎で一体、ユキ一騎で1体を相手取ることにした。
ユキはゲンタに氷堅頭竜を任せてみた。
ゲンタは氷堅頭竜と根気よく組み合い、やがて氷堅頭竜のスタミナが切れてくると、その喉元に食らい付き絶命させた。
伊達に集落で一番強い狼をやっていない。
氷堅頭竜が死んでいることを確認したユキは、部下達に任せたもう1体の方を見る。
部下達の方は・・・苦戦していた。
このままだと全滅してしまうかもしれない。
ユキは取り敢えずゲンタを差し向けた。
ゲンタの参戦により均衡は逆転し、最後の氷堅頭竜が絶命した。
ユキは部下達と一緒に氷堅頭竜の解体をした。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
氷堅頭竜を食べながら、ユキは部下達と話をした。
話題は・・・好きな遊戯について。
ユキ:
「私はネファタフル(チェスの亜種)が好きですね。
こう見えても強いんですよ?」
ダン:
「意外だな。
お前のことだから、もっと血なまぐさい遊びを好むのかと。」
ユキ:
「血なまぐさい遊びって何ですか・・・。
・・・臓物で絵を描くとかならやったことありますけど。」
ジャグ
「うわ~、エグ。」
ユキ:
「横からうるさいですね・・・。
そういうジャグはどんな遊びが好きなんですか?」
ジャグ:
「俺?
俺は・・・そうだな・・・。
木彫りとか好きかな。」
ユキ:
「渋っ。」
ミランダ:
「渋いねぇ~。」
ダン:
「お前、昔からそういう地味なの好きだよな。」
ビンド:
「今度何か作ってくれない?」
ジャグ:
「めっちゃ突っ込んでくるじゃん・・・。」
ユキ:
「ミランダはどうなんです?」
ミランダ:
「私?
私はねぇ~、美味しいものを食べるのが好きかなぁ~。」
ユキ:
「お、気が合いそうですね。
私も美味いものを食うのは好きですよ?」
ダン:
「嫌いな奴は居ないのではないか?」
ジャグ:
「俺も美味いのは好きかな。
勿論。」
ビンド:
「僕は野菜が好き。」
ユキ:
「お、ビンド、通ですね。
他二人は後でブン殴ってやりますからね。」
ダン・ジャグ:
「「え?」」
ユキ:
「で?
ビンドはどんな遊びが好きなんです。」
ビンド:
「僕はね、ずっとボーっとしているのが好きなんだ。
何も考えずにいると、幸せな気分になるよね。」
ユキ:
「ふむ、興味深い意見ですね。」
ダン:
「・・・分からん。」
ジャグ:
「逆に分かる?」
ミランダ:
「私は分かるかも~。」
ユキ:
「まぁ⤴?
まだ幼稚な二人には⤴?
分からないかもしれませんが⤴?」
ジャグ:
「年下のユキには言われたくないね。
今何歳なんだっけ?」
ユキ:
「十歳ですけど?」
ダン:
「は?」
ジャグ:
「え?」
ミランダ:
「へぇ~。」
ビンド:
「そうなんだ。」
ダン:
「十歳?」
ユキ:
「そうですけど?」
ジャグ:
「嘘でしょ?
デカくない?」
ユキの身長は163cmあり、狼族(ユキの種族)の中では少し小さい成人女性くらいにあたる。
ミランダ:
「まぁユキちゃん顔が幼いし~、そのくらいだとは思ってたよ~。」
ビンド:
「右に同じかな。」
ジャグ:
「えー?
俺とダンの目が節穴だったってこと?」
ダン:
「・・・少なく見積もっても13くらいだと思っていた。」
ユキ:
「失礼ですね・・・。
私、そんなに老け顔ですか?」
ジャグ:
「老け顔とかそう言う次元じゃないね。」
ダン:
「一種の年齢詐欺だろう。」
ユキ:
「失礼さが留まるところを知りませんね。」
その辺りで雑談を切り上げると、夜番を決めて就寝した。
・・・。
・・・・・・。
・・・・・・・・・。
ユキが夜番をしていると、不意に物音がした。
ゲンタも気付いたらしく、顔を上げる。
続いて部下達の狼。
やがて部下達も目を覚ました。
ユキは闇夜に紛れているのが人間だと気付いていた。
深く息をした。
部下達もゆっくりと得物をとり、狼たちは姿勢を起こした。
光るものが見えた。
ユキは反射的に、それを籠手で弾いた。
それは矢だった。
次から次へと打ち込まれてくる。
狼たちは散って避け、部下達もビンドの大盾に隠れたり、自身の盾で身を隠したりしている。
ユキは射込まれる矢が打ち止めになるよりも先に、相手の位置を見定め、飛び込んだ。
相手の息遣いが聞こえる。
ユキは本能的に敵の位置を正確に掴み、その頭蓋を拳で割った。
敵は散開して矢を射込んでいたらしく、少し最初に仕留めた敵から他の敵まで間が空いている。
ユキは目に入った敵を全員、貫くように殺した。
それで部下達が攻勢に入る隙が生まれた。
そこからは一方的だった。
部下達を比較的敵が密集している場所に突っ込ませてから合流し、散開していたということもあり各個撃破していった。
敵が居なくなったと確信するまで周囲を確認し、やがて狼たちが仕留めた敵を合わせて20人の屍体が積まれた。
ダン:
「・・・これを・・・俺たちがやったのか。」
ユキ:
「まぁ、狼達の功績もありますけどね。
とはいえ此方の人数以上殺したのは間違いありません。
誇っていいですよ。」
ユキは敵の屍体を検分した。
装備がしっかりしている。
少なくとも食い詰めた賊の類いではない。
行商人ティアからもたらされた情報通り、余所の部族の戦士で間違い無いようだ。
ジャグ:
「ここに20人いるということは・・・薬神の洞窟には最高でも80人ってことになるのかな。」
前情報が間違っていなければそういうことになる。
しかし、ユキにはあのティアが馬鹿正直に情報を伝えてくるとは思えなかった。
ユキ:
「いえ、斥候や見回りにしては20人は多過ぎると思います。
本隊にあたる百人隊の他に、予備兵力があると見るべきでしょう。」
ジャグ:
「そうなると・・・全部で150人くらいかな。」
ユキ:
「そのくらいが妥当でしょうね。
ですが最悪の場合、前情報が嘘で、全部で五百人隊ほどの規模が実はある・・・ということも想定しておくべきでしょう。」
ジャグ:
「・・・そんなに前情報が信用ならない?」
ユキ:
「えぇ、入手元が入手元なので。」
ユキ達はそんな話をしつつ、敵の屍体から首を切り離し、適当な枝に刺して晒した。
もしかしたら、こいつらが薬師のディブロの姉のリリィに大怪我を負わせたのかもしれない。
仲間に手を出したら、どうなるのか示すべきだ。
それが、余計な犠牲を減らすことに繋がる。
ユキは少なくともそう信じているが、もしかすると、単に鬱憤を晴らしているだけなのかもしれないとも思った。




