移動シーン2
トラブルに見舞われた一行だったが、なんとか夜まで無事に移動を続けることが出来た。
十人隊としては それなりの陣を構え、食事を始める。
流石に全員で毎回 火を囲むのは、大きな焚き火を用意せねばならず面倒なので、3人ずつグループを作って食事をする。
食事は交代で摂り、料理番のミランダから配膳を受け取る。
今日の食事は───
1.戻した干し肉の炒め物
2.ありのままの戻した干し肉(塩味)
3.干し肉のスープ
1d3=1
───戻した干し肉の炒め物である。
雪解け水で戻した干し肉を、油と一緒に炒め、調味料および香辛料で味付けした一品である。
このメニューには結構な金額が掛かっているが、ユキの強い希望により予算案がジャグより下ろされた。
木の皿に、戻され、スライスされ、炒められた肉が山盛りに乗っている。
そしてその上に、申し訳程度の緑が添えられていた。
肉と野菜の比率は9:1の、超肉食メニューである。
とはいえ、これが獣人・・・特に狼族や狐族などの肉食系にとっては理想的なメニューではある。
ユキは調理された肉に、用意された鉄串を刺して口に運ぶ。
新鮮ではないとはいえ、肉の脂の旨味と塩味、香辛料の程よい辛さが感じられた。
食感も悪くない。
一度 湯で戻した関係上、流石に新鮮な食感とは言えないが、それでも気にならない程度に品質の低下は抑えられている。
ユキ:
「ミランダ・・・悪くないですよ。
塩辛いだけの干し肉が、ここまで美味しくなるとは。
やっぱり他人に作らせる飯が一番旨いですね。」
ミランダ:
「ありがと~。」
ダン:
「騙されるな?
こいつ、人に食事を作って貰いたいだけだぞ?」
ユキはダンを小突く。
ユキ:
「冗談ですよ。
分からないやつですね。」
ジャグ:
「ユキが言うと冗談に聞こえないよ?」
ユキ:
「心外ですね。」
ユキは肉の炒め物を掻き込む。
ユキ:
「モグモグ・・・それで?
新入り達の調子はどうですか?」
ダン:
「新入りといっても、お前の方が付き合い長いだろう?」
ユキ:
「それはそうですが、隊にとっては新入りであることは変わりませんよ。
部隊としての行動は始めてですからね。
様子を聞いておいて、損することは無いでしょう?」
ダン:
「ふむ、そういうものか。
であればまず問題は無いと言っていいだろう。
ギーリなんかは若干言動が怪しい節があるが、それでも命令に逆らってくることなんて無いしな。」
ユキ:
「ふふ・・・分かっていないようですね、ダン。
私がギーリをあそこまで躾けるのに、どれだけの時間を掛けたと思います?」
ダン:
「ユキ・・・お前まさか今までの付き合いを全て・・・。」
ユキ:
「長かったですよ・・・。
奴は言ったことを翌日には忘れていますからね。」
ダン:
「・・・お前、思ったより苦労しているんだな。」
ユキ:
「ふっ、意外と下積みを積んでいるのですよ?」
ダンとユキが奇妙な友情を育んでいる間に、夜は更けていった。




