シーン9
酒場で宿をとって、そのまま夜を明かしたユキは、早朝 部下と合流した。
開口一番、昨日 練った計画を口にする。
ユキ:
「───というわけで、我々は準備を整え、近隣の集落を襲います!」
ダン:
「言い方というものがあるだろう。
これは・・・そう。 正当な抗議行動だ。 ・・・そうだろう?」
ユキ:
「フフン♪ 貴方も大分 発想が柔軟になってきましたね。 嬉しいですよ。」
ダン:
「・・・フン。」
ダンは照れ臭いのか気に食わないのか そっぽを向いてしまった。
ユキ:
「さて、やることは沢山あります。
ミランダ! 必要分の食料を確保して下さい!
足りなくなったら、貴方の肉を削ぎ落して食ってやりますからね!」
ミランダ:
「分かった!」
ユキ:
「ジャグ! 遠征用の装備を揃えて下さい!
抜けがあったら、指を切り落としてやりますよ!」
ジャグ:
「了解!」
ユキ:
「ビンド! 陣の設営に必要な資材の用意を!
不備があったら、歯ぁ折りますからね!」
ビンド:
「承ったよ!」
ユキ:
「そしてダン! 準備の総指揮を執って下さい!
何かあったら、骨折ります!」
ダン:
「構わんが・・・その脅し文句はいるのか?」
ユキ:
「? エディが取り敢えず部下は恐喝しておけと・・・。」
ダン:
「・・・その話は忘れろ。 多分、お前には必要ない。」
ユキ:
「ふむ、そうですか。
じゃあ止めます。 ・・・そういう訳ですから! 行動開始!!」
ユキが手をパンパンと鳴らすと、部下達は電光石火の速度で動き始める。
・・・これぞ、訓練の成果である。
レアク:
「で、私達には結局仕事は無いってワケね。」
ユキ:
「仕方ないじゃないですか。 仕事は信用によって拡大していくものです。
新参のレアク達になんて任せられません。
隊での仕事が欲しければ、これから信用を積み重ねていくことですね。」
ギーリ:
「姐さんの言葉は難しくて良く分かりません! だけど頑張ります!!」
ユキ:
「うむ。 それで良いんですよ、ギーリ。」
ヴァザン:
「虫唾が走る。」
ユキ:
「ヴァザンには他には出来ない仕事を既にあげてるでしょう?」
ヴァザンはニコッと笑顔を見せた。
ガレドグ:
「・・・。」
ユキ:
「そうですか。 期待していますよ。」
ガレドグはコクリと頷いた。
ジルア:
「よく彼と意思疎通できるね・・・。」
ユキ:
「慣れれば誰でも出来ますよ。 それよりジルアは私の雑用です。 さ、私の荷物を持って下さい。」
ジルア:
「え? この流れで?」
ユキ:
「・・・。」
ユキはジルアに近づくと、その耳元で囁いた。
ユキ:
(貴方が内通者だって この場でバラして公開処刑してやっても良いんですよ・・・?)
それを聞いたジルアは一気に顔色が悪くなる。
ジルア:
「スーッ・・・あー、何だか荷物が持ちたくなってきたなぁ~!(怒)」
ユキ:
「それでこそジルアです! よっ、下僕!」
ジルア:
「おっと、手が滑った!」
ジルアの手元から、ユキの荷物が滑り落ちた。
ユキ:
「・・・。」
ユキは無言でジルアを殴った。
ジルア:
「ゴホォ!」
吹き飛ぶジルア。
ユキ:
「・・・起きろ。 荷物を持て。」
ジルア:
「・・・分かったよ。」
レアク:
「相変わらず人使いが荒いわね。 裏切られても文句は言えないわよ?」
ユキ:
「大丈夫です。 最初から裏切り者みたいなものですから。」
レアク:
「なにそれ?」
ジルア:
「・・・。」
真実を知るジルアだけが気まずい顔をする。
ユキはただ、明後日の方向を見るだけだった。




