薬神の祠(タイプα) 探索シーン1
・<2024/10/3>時点の世界観、および小説の書き方に修正。
「ここが薬神の祠ですか・・・。」
木の上で独り言を言った人間が居た。
その人間は新雪のように白い肌をして、少し土汚れが付いた雪のような配色の長髪を持ち、瞳は一見すると可愛らしいピンク色をしている。
身長は160cm弱で、れっきとした女性だ。
女性の平均身長が150cm後半であることを考えると大人に感じるかもしれないが、少なくとも彼女は幼く、まだ子供である。
しかし彼女の最たる特徴は、その身長では無く、側頭部にある耳の形であろう。
彼女の耳は笹の葉状の、フワフワの体毛が生えた、獣の耳のようなそれであり、その耳は彼女がただの人間では無いことを表していた。
彼女こそ、主人公であるユキである。
ユキは、今日この日、薬神の祠を訪れた。
そこは雪の降り積もった樹海の中にポツンと空いた空間で、不自然な人工物である遺跡が建っていた。
もはや原型を留めていないほどボロボロだが、継ぎ目の無い、失われた建材であるコンクリートで建造されていることから、この建物が古代文明の遺跡であることは一目瞭然だった。
薬神の祠とは薬草の採れる遺跡のことであり、ユキの目標は薬草を採取することだ。
───探索フェーズ───
早速ユキは木の上から地面に飛び降りた。
ユキはまず、どの遺跡から調べるか考えた。
・・・。
ユキはマップ左上の建物から調べることに決めた。
近づき、建物の影で聞き耳を立てる。
・・・。
建物内には2体の獣がいることが音で分かった。
・・・。
ユキは奇襲を行った。
建物の影から素早く飛び出すと、目に付いた獣に飛び蹴りを仕掛ける。
中には2体の雪蛞蝓が居た。
身体の表面に雪のように細かい氷の結晶が積層した、巨大な蛞蝓だ。
─────ユキの手帳─────
雪が積もっているところなら大体居る獣。
動きは鈍いけど、タフな上に数が多く、見た目以上に面倒なヤツ。
体表を流れる特殊な粘液が とても冷たくて、少し触っただけで霜焼けになるので注意。
特殊な粘液を処理すれば白い珍味な肉として食べられる。
焼くのもいいけど、炙ったり干したりしても美味しい。
保存食にすると良いかもしれない。
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ユキの飛び蹴りは、雪蛞蝓を完全に捉え、その躰を完全に潰す。
ユキの視界に映る限り、最後の雪蛞蝓がユキに気付く。
───戦闘フェーズ───
ユキは雪蛞蝓に殴り掛かった。
雪蛞蝓は、踏み潰された大福のように体液を撒き散らして死んだ。
ユキの興奮のボルテージが少し上がる・・・。
ユキは顔についた雪蛞蝓の体液を舐め取りながら、残虐な笑みを浮かべた。
───報酬フェーズ───
ユキは雪蛞蝓2体の死骸に近づくと、背嚢から鉄のナイフを取り出して解体を始めた。
ユキは雪蛞蝓2体の白身肉を手に入れた。
・・・!
ユキは何か悪寒を覚えた。