表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

362/362

エクストラ

祝・書籍発売なSSです。

ダンジョン関係ない感じです。

 小田原旭こと俺は、オリジナルチャートを完遂した後、奈良の岩珍工房に革防具を引き取ってもらったり、さらに足を伸ばして九州の桜島ダンジョンに入ったりした。

 その後で、北九州にある新門司港からフェリーニ乗って東京へ。東京から軽キャンピングカーで大洗へ移動してから、またフェリーに乗って北海道の苫小牧へと移動した。

 どうして俺が、試される大地の北海道に、軽キャンピングカーに乗ってやってきたのか。

 といっても、大した理由じゃない。

 夏が近くなって気温が高くなってきたから、避暑地へ移動しただけ。

 この軽キャンピングカーには、小型のエアコンがついている。

 でも、電源はキャンピングカーのバッテリーなので、エアコンを駆動しっぱなしにすれば、直ぐに電気が尽きてしまう。

 それならいっそのこと、エアコンをつけなくても涼しい場所に移動しようと、北海道まで行くことにしたっていうわけだ。


「これぞ軽キャンピングカーを住処にしている利点だよな。それにネット環境さえあれば、オタク趣味はどこでも出来るし」


 苫小牧の港から出発し、目指すは五稜郭ダンジョンがある函館。

 とりあえず、本州が涼しくなるまでは、このダンジョン近くにある駐車場が俺の住所にする気でいる。

 とはいえ、別に急いで移動する必要もない。

 俺はスマホで苫小牧から函館のルートを設定し、そのルート上の近くにある場所を観光しながら移動することにした。


 北海道の港にいるからには、まずは海の幸を堪能するべきだろう。

 俺は軽キャンピングカーを発車させ、フェリーターミナルからほど近い苫小牧漁港へとやってきた。

 フェリーが苫小牧に着いたのが昼頃だったので、漁港に到着したのは昼をやや過ぎた時間帯。

 漁港を見回るには遅い時間帯だからか、食事処には人がいても、土産物屋や海産物を売っている店には物も人も少ない。

 そんな様子を見ながら、何を買おうかとフラフラしていると、海産物を売る店員の一人に声をかけられた。


「おい、坊主。親と離れたのか? 探してやろうか?」


 焼けた肌。頭にタオル、腰に防水性のエプロン。

 まさに漁師って感じの見た目の人だ。

 俺は、親切にしてもらって申し訳ないと思いつつ、ズボンから免許証を取り出して提示した。


「この見た目で誤解されがちだけど、俺はちゃんとした大人だよ」


 漁師風の店員は、免許証と俺とを交互に見ると、笑い顔になった。


「こいつは、すまねえな。いやあ、魚やらカニやらに気を取られて、親とはぐれる子供が多くてよお」

「いえいえ。それで、どんなもの売っているんです?」

「大分売れちまって、残りは少ないけど、良いものばかりだぞ」


 ケースの内を見させてもらうと、色々な魚にカニや貝があった。

 俺はそれら海産物を見て回り、理解した。

 俺には海産物の目利きはできないってことが。

 それならと、俺は財布から十万円ほどを抜き取ると、先ほどの店員に押し付けてお願いすることにした。


「そのお金で買えるだけ、おススメをお願いします」

「お、おう! 直ぐ用意する、待っててくれ」


 店員は、空きの発泡スチロールの箱を抱えると、店内を巡って品物を選んで箱に入れていく。そして一つ目の箱が満杯になると、それに氷を入れてから、二つ目の箱を抱えて品物を入れていく。

 そうして、海産物と氷とで満杯になった箱が二箱出来上がった。


「どこかに送るのなら、伝票もあるぞ?」

「いや、自分で持って帰るよ」

「結構重いぞ?」

「良いスキルを持っているんだよね」


 俺はスキルを発動し、発泡スチロール箱二つを次元収納に入れた。

 俺の行動に店員は目を丸くしていたが、何かを思い出したような顔になった。


「そういや、魔石ってのがあれば、ダンジョンの外でもスキルってのが使えるようになるんだったっけな」

「いま俺が使ったのは、ダンジョンに入ったときに最初に選べる三つのスキルの内の一つ。次元収納だ」

「へー。便利なもんだな。そのスキルっての、取りに行こうかな」

「止めといた方が良いよ。次元収納は、獲得して直ぐはリュック一つ分しか入らない。それにスキル発動で消費する魔石は、一つウン十万円の値段だから、コスパが悪いよ」

「うげっ。それじゃあ駄目だな。というか、そんな値の張るものをつかったんじゃ、赤字じゃないか?」

「俺の場合は、自前で用意できるからな。小さいなりに見えても、探索者だからな」


 そんな会話をしてから、俺は店員と別れ、移動して食事処に入った。

 港飯なら海鮮丼――といきたいところだけど、この小さな体には量が多いように見える。

 仕方がないと、俺は刺身定食をご飯少な目で頼んだ。

 今朝上がったばかりという魚の刺身を堪能し、アラ汁とご飯を食べ終えると、かなりの満腹になってしまった。

 俺は重たい腹を抱えながら、軽キャンピングカーへと戻り、居住区画に乗り込んだ。


「ふうっ。さてと」


 俺は、次元収納からホットプレートを取り出してテーブルの上に置き、キャンピングカー内にあるポータブル電源に接続。

 つづけて先ほど買った海産物が詰まった発泡スチロール箱を一つだけ出し、床に置く。

 ホットプレートを電源に繋いで、スイッチオン。発泡スチロール箱の蓋を開け、貝と小魚を選んで備え付けのシンクに移していく。

 それらの海産物を、蛇口から細く出した水で洗ってから、軽く水けをきってホットプレートの上へ置き、蓋を上にかぶせた。

 そうした諸々の準備が終わってから、俺は体からスキルの力で魔力を発生させつつ両手を前に突き出した。


「出てこい、精霊たち」


 俺が命じると、突き出した手の先から、光の精霊と闇の精霊が出てきた。

 精霊たちは、まず俺が先に美味しいものを食べたことに対する抗議の仕草をしてから、海産物が焼かれ始めた匂いがしてきたホットプレートの脇へと空中移動した。

 現金な様子に、俺は苦笑してから、スマホを取り出して近くの車中泊スポットを探す。

 基本的には、道の駅が好ましい。

 けれど悪い事に、苫小牧から函館までの道のりで、数十分で着ける場所にはなかった。

 こうなると、キャンプ場か駐車場に止めざるを得ない。

 キャンプ場は、基本的にお金がかかる。値段も場所によってまちまち。カーキャンプ不可の場所もあったりする。

 節約志向なら、無料駐車場が狙い目ではある。でも駐車場で車中泊は、正規利用とは言い難いため、利用をお目こぼし頂いていることを留意しないといけない。

 俺は金に困ってないので、キャンプ場を選んでもいいのだけど、庶民感覚で値段が高い場所は気後れしてしまう。

 色々調べていくが、当日午後からの予約が出来そうなキャンプ場が近くに見つからなかったので、無料駐車場にお世話になることにした。

 この漁港からほど近い場所に一つあるようなので、まずはそこへとホットプレートで海産物が焼けるまでの時間待ちの間に移動してしまうことにした。


 無料駐車場に車を止めてから、ホットプレートの蓋を外した。

 すっかりと焼き上がった貝や魚があり、精霊たちの目が『美味しそうだ』と釘付けになっている。

 俺は精霊たち用の小さいフォークやナイフを渡してやり、その後で貝の殻を外す作業を行う。

 精霊たちは、魚をフォークとナイフで解体しながら食べ始め、俺が剥き終わるやいなや貝の身を強奪するようにして食べていく。


「すっかりと食いしん坊になっちゃってまあ」


 俺は苦笑しつつ、新しい貝を開けてやりつつ、ホットプレートの空いた場所に新たな海産物を置いて焼き始める。

 そして焼き上がっている方の海産物にも、醤油を垂らしたり、バターを乗せてやったりと味変させながら、精霊たちに食事を与えていく。

 精霊たちは、そうして海産物を食べるだけ食べると、もう入らないと示すように、ベッドになる椅子の上で寝転がった。

 まだ少し海産物がホットプレートの上にある。

 精霊たちが食べられないのならと、残ったのは今日の夕食の材料に使うために、次元収納に入れておくことにした。そしてホットプレートと食器を洗って拭いて、金網の中で乾かしに入る。

 そうした片づけを終えて椅子の上で並んで寝ころぶ精霊たちを見て癒されながら、あることを決める。

 今日はこの無料駐車場で宿泊するのか、それとも更に函館に近づいて別の場所で休むかだ。

 その選択を決定するため、俺は苫小牧についてネットで調べることにした。


「ふむふむ。意外と苫小牧って、アニメやゲームに関連している場所があるっぽいな。なら先に行くよりも、苫小牧のサブカル文化関連の観光をしようかな」


 幸いなことに、苫小牧で色々なアニメやゲームの聖地巡礼をしたというホームページを見つけることができた。加えて、どこでなら限定グッズが買えるかという情報も載っていた。

 現在の時刻は、あとちょっとで三時。

 今からなら、観光場所が閉るまでに、一回りできそうな感じだな。


「そうと決めたのなら。早速出発だ」


 俺は居住スペースから運転席へと移動すると、エンジンをかけて、サイドレバーを解除。軽キャンピングカーを発進させた。

 居住すベースの座席には精霊たちが寝ころんでいるしと、安全運転を心掛けて、苫小牧サブカル聖地巡礼へと向かうことにしたのだった。 




来たる、2025年3月19日

本作品であります

『オリジナルチャート発動!俺が現代ダンジョンで求めるのは不老長寿の秘薬!!』

は、TOブックス様より書籍発売となります!


本文に加筆した内容と、オマケSSとで、この物語世界がどんな感じかよりわかるようになっています。

Web版と流れが違う部分があったりするかも?


ご興味がおありでしたら、ご購入をよろしくお願いいたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
10話目で挫けたのでレビューで物語の補完を目論んだら途中挫折してラストまで飛んだ方がいた。免罪符がいた。 最終回からエピローグ最高!面白い! 他のレビューも読んで、序盤からは想像できないくらい面白いら…
最高でした!! 面白かったです!!
めっちゃ面白い物語をありがとうございました!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ