表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

340/362

三百三十話 精霊たちの成長

 俺が女性像が持つ金小箱に色々なものを押し込んで蓋を閉じてから、半月が経過した。

 これだけの時間をかけても、未だに金小箱の蓋が開く気配はない。

 仮に、地竜を倒す武器を得るために長い時間を消費するとなると、金小箱の利用者は少ないだろうな。

 でも、金小箱の本来の役割が大太刀をドラゴンスレイヤーに変えるためだとすれば、俺の不老長寿の秘薬を生み出そうとしている試みは仕様外といえる。

 そうした仕様外の使用をしているために、更に時間がかかっているとも考えられる。


「はたまた、物を詰め込んだ量が多すぎたのか」


 回復薬や若返り薬を多少入れても不老長寿の秘薬にはならないだろうと考えて、金小箱の容量一杯まで治癒方術で作った魔法薬を詰め込んだ。

 その大量の魔法薬を一つに合成するために、長い時間が必要だとすると筋は通る。

 なににせよ、金小箱が開くには、いましばらくの時間が必要というわけだ。


「その待ち時間は、地竜を倒すための方針を立てることに使いたいのだけど」


 俺は床に胡坐をかきつつ、溜息を吐く。

 そんな俺の膝の上には、出しっぱなしにしている光と闇の精霊たちが腰かけている。

 ドロップする端から魔石を与えているため、精霊たちの衣服は最初より少しずつ豪華になってきている。

 闇の精は、ゴスロリ服の袖全体に刺繍が入り、袖元にフリルが一枚追加された。

 光の精は、ワンピースの裾から腰元まで刺繍が入り、裾の内側に薄布が一枚追加された。

 以前より更にかわいい服装になったことは間違いないけど、売れば一つウン百万円の魔石を多数使ったにしては、微妙な変化と言わざるを得ない。


「与えた量を考えると、どちらも一千万円越えのドール服だ。それにしてはなぁ」


 費用対効果が悪すぎるので、ゲームで言うとこのエンドコンテンツなんだろうな、精霊の服を豪華にするってのは。

 まあ、銀行口座の預金額は億を優に超えているし、魔槌の使用感に不満はなくて進化の必要性を感じて居ないから、魔石を精霊たちに貢いでも構わないんだけどな。

 そんな事を考えつつ女性像のある部屋で一泊してから、二十階層の階段を目指して移動を開始。

 その道中で、精霊たちに変化が現れた。

 あるとき戦闘を終えた後、精霊たちがなぜかやる気を見せてきた。

 戦闘を終えたばかりなのにと疑問に思いつつ、多脚戦車にタンデムしながら移動して、別のモンスターたちと会敵した。

 戦闘開始しようとして、俺が精霊たちに命令を発しようとすると、それより前に精霊たちは動き出していた。


「おい!」


 俺が静止を呼びかける声を上げるが、精霊たちは止まらず、それぞれの手の先になにかを作りだしていた。

 光の精の手の先には天使の輪のような光輪が、闇の精の手には墨汁のような黒さと光沢を放つ球が現れていた。

 その光輪と黒球は、一秒ほどかけて精霊たちの身体と同じ大きさまで成長した後、発射された。

 光輪は、ドラゴンゴーレムの身体に命中し、大きく深い傷を作った。

 黒球は、竜人の身体に命中し、直後竜人は口から泡を吹いて昏倒した。


「切り裂ける光輪と、毒だか麻痺だかの状態異常の球ってわけか」


 どうやら精霊たちは、新たな術を覚えたようだ。

 しかし、精霊召喚スキルが成長したと、俺の脳にアナウンスはなかった。


「精霊のレベルアップであって、俺のスキルのレベルアップではないってことか?」


 もしそうだとすると、精霊召喚スキルは契約した精霊を呼び出せるだけのスキルで、レベルはないのかもしれないな。

 そんな考察をしている間に、精霊たちの手から光輪と状態異常の球がモンスターたちに連射されていて、ドラゴンゴーレムの一匹が倒れ、竜人は全員昏倒し、土の精は逃げ惑って仲間のモンスターたちを援護することが出来ないでいる。あっ、竜人の一匹が薄黒い煙に変わって消えた。毒か麻痺の累積ダメージだな、きっと。

 ドラゴンゴーレムの生き残りが火を吐いてきたが、それは俺の魔力盾で防げばいい。

 このままの調子でいけば、精霊たちの攻撃だけで戦闘に勝てるな。


「今まではダメージを与える手段がなくて俺がモンスターを仕留めていたけど、これからは精霊たちに止めを刺させるようにしようか」


 探索者のスキルのレベルアップには、モンスターの討伐数が関係している感じがある。

 精霊たちの成長も同じだと考えると、積極的にモンスターを直接倒させた方がいいはずだからな。

 決して、俺が楽して勝とうとしているわけじゃない。


「それにしても、切り裂ける光輪と状態異常の球か。これらを用いたら、地竜にワンチャンあるか?」


 どうだろうと考えつつ、精霊たちがモンスターを蹂躙し終わるまで、脳内でシミュレーションして勝ち筋を模索することにした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 金小箱がいっぱいになるまで詰め込んだしアイテム完成するまで年単位の時間かかるということもありえるのでは 本当は自分が使用している種別の武器と竜素材いくつかぐらいで合成するもんだとしたらやり…
[一言] 他のダンジョンとの比較もしないよね。 10階層のボーナスとか他のダンジョンでももらえるのかとか 19階層で合成の女神はあるのかとか
[良い点] 精霊がつよい [気になる点] 自分の装備は強くしないの [一言] 勝利の兆し
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ