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上位種の号令により、下位から中級の魔物が一斉にライへ飛びかかった。

「ライ!!」

ミランは山頂入り口付近から矢を番える。

が間に合わずライは魔物に埋もれ姿が見えない。


「見えない、これじゃさっきの技は使えない...!どうしたらいいの?」

顔から血の気が引き、色白の肌はもっと血色がなくなる。


すると、魔物が群がる中心から強烈な金色の光の柱が現れる。

「あれは...? この弓と同じ力?」

金色の柱に呼応するように、弓も同じ光を帯びている。

「初めてライに会った時と同じだ!」


弓は誘うようにミランの魔力に反応し、自然に体から魔力が出てくる。


「これでライの助けになるなら...!」

弓を両手で握り、魔力を込める。

すると強い輝きを放つ。

ミランの瞳と同じ、瑠璃色の魔力が弓に注がれる。

金色の魔力を中心に渦を巻くように、瑠璃色の魔力が周回している。

やがて二つの魔力は中心で混じり合い、ミランの持つ矢尻に宿った。


魔物たちの様子を見るとライの魔力に苦しんでいるようで、あちこちで悲鳴が聞こえる。


(今しかない!)

即座に構えを取り、矢を番える。

ふうと一呼吸おき弓を上へ起こす。

そのまま口元まで引き分けて狙いをつける。

(お願い!!!)


ミランが祈り放った矢は、寸分のずれもなく直線で金色の柱まで飛んでいく。


矢が打ち込まれると光が膨張し、光がぶわっと大きく破裂するように弾ける。

弾けた光は、金色と瑠璃色の光の粒となり魔物に降り注いだ。


「なんだか、温かい...。」

ミランは自身の手にも降り注いだ光を見て安堵したような息を吐く。

光の粒はやがて魔物の群れを溶かすように、魔物たちを減らしていった。

苦しんでいる様子はなく、解き放たれるように消失していく。


中・下位の魔物たちは消え去り、中心に立っていたのは白銀の髪をした青年だった。

白銀の大剣に瑠璃色の紋様が刻まれ、ライから更に強い魔力を感じる。


「ほう。その女の力魔力を吸収したか。だがどうだ?女の方を見てみろ。もう魔力など残っておらぬ。後はお主のみだ。」

「悪いがお前如きに遅れをとる事はない。」


「ふん。ではどうだ?力比べといこうではないか。」

その体躯と同じ丈の斧のような獲物を背後から取り出し、構える魔物。


ライもそれに応じるようにジリジリと距離を詰めた。


「力が...足りない...。」

ライへ魔力を注いでしまったため、完全に枯渇してしまっているミランは身を守るための術も使用不可になっている。

その時ミランは気づかなかった。

背後から異形が近づいていることに。

「ーーーーーー!!!」

悲鳴を出す暇もなく両手を縛られてその場へ倒される。

目を覆い隠すように布を被せられた時見えたのは...ミランが愛してやまない父親の姿だった。


上位種の魔物との戦いは互角で、互いに消耗していった。


(クソ、魔力が...もうあと一撃が限界か。)

ライは息を切らして額から汗を流し、首筋を通って胸元までしっとりと濡らしている。


「...これで最後だ。

いくぞ小童!!!!」

ずしんと大きな体で、斧を横方向へ高速に動かした。

ライはふわりと飛び、斧の上へ着地する。


「小賢しい真似を!!」

もう片方の手で握り潰されるかと思った瞬間、ライの方が速かった。

胸元めがけて腕を駆け、飛んで回転しながら胸に向け大剣で一撃を放つ。


「ぐわああああああああ!」


魔物は両膝をつき呻き声をあげている。


ライは地面へ華麗に着地し、ミランを見ようとするがそこには居なかった。

「ミラン?」


大木付近を見ると1人の男が、1人の少女を片手で担いでいた。

「ミラン!!!!!」


ミランは猿轡など拘束具でしっかりと拘束されており、身動きはおろか声も出せない。


「クソ!!!!行かせるか!!!」

体は鉛のように重く、一歩がこれほど出ないことに驚きを隠せない。


(ライ!...ライ!怖いよ。助けて...。)

目を覆われているせいで視界はブラックアウトしているが、覆っている布が濡れるくらいに涙が止まらない。


「なにか、なにか方法はないのか!!」

この世界を繋いでいる大木の幹へ、少女を担いだ男が到達するかと思ったその時。


大木の前に果てしなく大きな虹がかかった。

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