表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

おばあとの思いで

おばあちゃんはよく、ご飯を作ってくれた。

「あんたには、なんでも、たべさせてあげたいんや。食べたいものあるか?」

これが、口癖だった。

からあげ、ハンバーグ、すき焼き、味噌汁、にくじゃが…

そのなかでも、私が一番好きだったのは…



私は20歳になった。おばあちゃんは遠くにいってしまった。


学生を卒業して、社会人になった。一人暮らしだ。

働くところは、いわゆるブラックだった。

毎日の上司からの叱責。小さな失敗で、長時間のお叱り。サービス残業は毎日2時間。勤務形態は、早番遅番の繰り返し。起きたら暗いのに、仕事終わりも暗い。

「あれれ~、いっつも夜なのかな、おっかしいな~」なんて。

勝手に涙がでてきた。

なんのために働いているのか。

「しんど」

このまま、電車に飛び込んだら楽になれる?

このまま、車にひかれてみるか?

このまま、あの看板が落ちてきたら終わるか?

転職も考えたが、なにもやる気が起きない。

こんな私が仕事ができるのかという思いでいっぱいになった。学生のときは、コミュニケーションはある程度とれると思ってたのになぁ。

毎日叱責されてたら、自信も無くすかもなぁ、でも自分に問題があるのか…

すっかり自信をなくして、それでも電車に乗って仕事先に向かっていた。


大人になってからのメンタル回復は誰も助けてくれないし、小説みたいに運命の人が現れてなんでも解決してくれない。

「ほんと、世知辛いな。」


重いからだを起こして休日に散歩にでた。

この状況をどうにかしたくて、行動した結果だった。

太陽はいつも輝いていて、まぶしい。

植物は光合成をして、動物や人間は太陽のエネルギーを得るために植物を食べる。と、どこかで聞いたことを思い出した。

人間は太陽から動かされてるのか。


ベンチに座った。

人がたくさん仕事をするために動いてる。

「みんな、すごいや。」

何かしら、給料をもらうために、人のために働いてる。すごすぎる。


まだ、若いからどうにでもなると、周りの人は言うけど、どうにかする意識があるから行動して、どうにでもなったから、言っている。何がいいたいかというと結果論ではないかということ。

早くおばあちゃんになりたい。年金暮らししたい。

「年金積み立ててないけど」といって一人で笑った。


帰ってご飯をたべた。

「もう九時かねなきゃな」

呟いてから、仕事のために生活をしていることを実感し、嫌になった。


その夜も眠れなかった。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ