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塩と鉄

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳ございません。

「ふふふ。あぁ……可愛い……」

目の前に座る女は漫画を片手に恍惚とした表情を浮かべた。それは飢えた喉や胃に、糧を流し込まれた時の快楽的な顔。それを横目で流しながら、熱い珈琲に口を付ける。手を組んで改めて彼女を見据えた。

「強くて脆い人が好き。そうね、食塩の様な」

突然始まる彼女の感想に、特段驚く事は無かった。なんせこれが平常運転。それに不可思議な言葉を並べ立てているようで、問い掛けを行うと必ず筋を出す。ちゃんと脈がある。

だから今回もその道を問う為に聞き返した。

「その心は?」

「知っていて、岩塩ってとても硬いのよ。でもとっても脆いの。一点の強い刺激で容易く壊れてしまう。人の心の様に。だから……ねぇ?」

彼女は思い切り前屈みに体を倒すと、滴るような笑みを浮かべた。

「全ての物事を俯瞰しているようで、ある特定の何かに弱い人が好き。そうね。たった一人の愛人を失ってしまうと、容易く砕けてしまいそうな人。脆くて愛おしい」

「そう? 私は精神が鉄、鋼の人が良いけれど」

見ていられ無いよ。愛する人がそんな風に壊れてしまう様なんて。だから金属の様に叩かれても容易く形を変え、受け入れられる人が良い。金属はしなやかだよ。捻じ曲がる事はあっても、貫通する事はあっても、粉砕される事はない。容易く姿を変える。

そうやって、何か衝撃を受けても受け入れられるところがいい。

「ふふ。相容れないね」

「全く持ってその通り」

禅問答は終いとなった。銅色に、注がれた珈琲一杯には、微かに塩の味がした。

ふと、高校時代の化学の時間が蘇って来ました。

私の恩師の名言、色々あったはずなんですけど、忘れてしまいました。

覚えているのはただ一つ。


「食塩は硬くて脆いですよ。硬いと脆いは同居しますからね」


これぐらいですかね。

まぁ、元気でやってる事でしょう。

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