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第24話 設立を祝って――からの


「それでは――『追放者ギルド』の設立を祝って、カンパーイ!」


 俺は麦酒がなみなみと注がれた樽ジョッキを片手に、宴の開始を宣言する。


「はい! カンパーイ!」


「……乾杯」


 ノリノリで樽ジョッキを掲げるヴィリーネと、微妙にテンションが低いカガリナ。



 ――俺とヴィリーネが『デイトナ』に戻ってきた晩、そのまま冒険者ギルド『アバロン』の建物内で打ち上げを開くことになった。


 というか、カガリナがギルドの受付を締めるタイミングを見計らって「打ち上げをやろうぜ」と懇願した。


 だってめでたいじゃん?


 経緯はどうあれ、無事に『追放者ギルド』がギルドとして活動を開始できたんだし。


 今は俺たち3人以外ギルド内に誰もおらず、貸し切り状態だ。


「ちょっと、なんでアンタたちの設立祝いをウチでやんなきゃならないのよ。それにどうしてアタシも参加してるワケ?」


「まあまあ、固いコト言うなよ。祝い事は、1人でも人数が多い方が楽しいだろ?」


「そうですよカガリナさん! 今日は偉大なアイゼン様がギルドを創った、その記念日なんですから!」


 テンションの低いカガリナとは対照的に、ヴィリーネは既にできあがっているんじゃないかと思えるほど楽しそうだ。


 あ、ちなみに未成年の彼女が飲んでいるのはぶどうのジュースなんだけど。


「素敵です……追放者が偏見の目で見られることなく、本当の力を発揮できる理想郷……。アイゼン様なら、多くの追放者の道を照らしてくれると信じています……!」


 樽ジョッキを掲げ、うっとりとするヴィリーネ。


 ……凄い期待されちゃってるなぁ。


 いやまあ、実際そんなギルドを築いていくつもりではあるけど。


 ここまで信頼されたら、期待は裏切れないよな。


 俺も改めて気合を入れないと。


「はぁ、アンタも偉くなったもんね。いつの間にこんな純粋な子をたらし込むようになったんだか」


「人聞きの悪い言い方はやめてくれよ。せめて隠れた才能を見抜いてスカウトしたって言ってほしいね」


 俺の言葉に、ヴィリーネがピクリと反応する。


「スカウト……そうですよ! アイゼン様は『ビウム』でも、追放者の方をスカウトしたのですよね! その方は、いつギルドに加入してくださるのですか!?」


 キラキラと瞳を輝かせ、俺に尋ねてくる。


 ――ヴィリーネの言う〝『ビウム』でスカウトした追放者〟とは、勿論マイカのことだ。


「さあ、とりあえず声をかけただけだし、加入するかを決めるのは彼女の意志だけど――たぶんあの子なら、すぐに決断してくれるんじゃないかな」


「楽しみです! また1人、追放者が救われるのですね! ああ、今日はなんて幸せな日でしょう! いえ、アイゼン様と出会えてから、私は毎日が幸せですぅ!」


 樽ジョッキのぶどうジュースをあおりながら、幸せそうにフラつくヴィリーネ。


 ……おかしいなぁ、彼女の飲み物にはアルコールは入ってないはずなんだけどなぁ。


 もしかしたらぶどうジュースで酔っ払っているのだろうか。


 だととしたら、将来は酒乱の気があるかも。


 ……いや、そんなヴィリーネの姿は想像しないでおこう。


 そんな感じで、俺たちの打ち上げが宴もたけなわになっていると――



「ようよう、賑わってるじゃねえか若ぇ衆。俺も交ぜてくれよ」



 男性の声が聞こえた。


 その声の主は――カガリナの父親にして、〝四大星帝(クアッド・マスターズ)〟の1人。


 大手冒険者ギルド『アバロン』を率いる偉大なるギルドマスター、ライドウ・カグラ。


「ライドウさん! お久しぶりです!」


「ああ、久しぶりだなアイゼン。少し見ない内に男前になったか? カガリナが惚れ込むのもわかるぜ」


「だっ、誰が惚れ込んどるか! 適当なこと言うな、このクソ親父!」


 カガリナは顔を赤くしてライドウさんに突っ込む。


 そうかそうか、カガリナも少しは俺のことを認めてくれているんだな。


 そいつは嬉しい限りだ。


 ライドウさんは俺たちの座るテーブルに腰掛け、


「よっ、と……。その様子じゃ、無事に『追放者ギルド』の申請はできたみたいだな。楽しみにしてるぜ? お前に期待してる奴は、意外と多いんだからよ」


「は、はぁ……」


 意外と多いって、それってこの場にいる以外に誰かいるのだろうか?


 なんて質問を返す間もなく、


「しかし、これから活動は本格化していくワケだ。なんか当面の予定はあんのか?」


「いえ、とりあえずは仲間を集めなきゃって思ってるくらいで……」


 俺の答えを聞くと、ライドウさんは「そうかそうか」と不敵な笑みを浮かべる。


「仲間集めも大事だが、追放者1人1人に声を掛けてちゃ時間がかかり過ぎる。お前もギルドの旗を掲げたんなら、『追放者ギルド』の名を売って追放者たちが自分から来るように仕向けなくちゃならねぇ。違うか?」


「それは……そうかもですが……。でも、そんな簡単に名を上げる方法なんてないですし……」



「そいつはわかんねぇぞ? ――お前さん、アクア・ヒュドラって知ってるか?」


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