第12話 冒険者ギルド代表会議②
ジェラークはやや前のめりになって話し始める。
その話題を聞いた3人は〝やっぱりな〟と内心で思い、各々が耳を傾ける。
「確か、低難易度の洞窟ダンジョンをヤバいモンスターが根城にしちゃったって話だったかしら? DランクやCランクの冒険者パーティが次々襲われて、大変だったらしいじゃない」
「うむ、アクア・ヒュドラといえばSランクパーティでも手を焼く凶悪なモンスターだ。何故そんな個体が低難易度ダンジョンに現れたのかはわからんが、早急に駆除する必要がある」
「で、その対策方法を検討しようってのか? くだらねぇ、そんなの簡単じゃねぇか」
1人用のソファに腰掛けるヴォルクは足を組み直し、不敵な笑みを浮かべる。
「緊急討伐依頼の発布、報酬は金貨千枚、受理者無制限の早い者勝ち――ってな具合で各ギルドに張り出せば、あっという間に駆除されるぜ」
「だが、それでは冒険者たちに無用な被害が出るぞ。アクア・ヒュドラはAランクパーティや新規Sランクパーティが楽に狩れるような相手じゃないだろ」
「相変わらず甘いなライドウ。だからどうしたってんだよ? AランクだろうがSランクだろうが、挑んでおいて負ける方が悪いんだろうが。冒険者の世界は常に弱肉強食。そんなの、冒険者なら誰でも理解してるはずだが?」
ヴォルクの言い分に「はいはーい」とメラースが手を上げる。
「アタシも賛成。手練れのパーティにちゃっちゃと始末してもらうのもいいけど、冒険者界隈の活性化を考えるなら丁度いいハプニングだと思うわ。もしかしたら、この一件で名を上げるパーティが出てくるかもしれないじゃない? それって面白いし素敵!」
「それは、そうかもしれんが……。総代、ご判断を」
ライドウに判断を委ねられ、ジェラークは「うむ」と頷いた。
「ヴォルクの案を採用しよう。ギルド全体の活性化に繋げるのは悪くない考えだ。だが、受理者無制限というのは却下する。最低限、各ギルド長の承認があることが条件。異論ないな」
「へいへい、それで構わねーよ」
微妙につまらなそうに、ソファにもたれかかるヴォルク。
常に強き者を優遇し、弱者の排斥を善しとする彼からすれば、力なき者を保護するなどという考えそのものが論外であり、退屈極まりないものだった。
そして1つめの討論がまとまったところで、ジェラークは次の論題へと移る。
「では2つめの議題だが……今、冒険者の間で問題になっている〝追放ブーム〟についてだ」
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