布団の中
掲載日:2020/04/19
もう眠らなきゃ。
けんたはまだ幼稚園生だから、夜ふかししても怒られない。
私はそれがうらやましかった。
畳に敷いた布団に横になっていると、畳の目の上に、ドアから薄く光のすじがのびてきた。あれ、とドアの方に顔を向けると、光のなかにパジャマ姿のけんたがいた。
けんたは、ドアの隙間からそっと部屋に入ってきて、私の枕元に座った。スナック菓子の袋を手にしている。そして、袋に手を突っ込んで、スナックを私に差し出した。
私はそれをつまんで受け取り、横になったまま、布団の中でこっそり口に運んだ。口に含むと、スナックは、じゅっ、とした。
けんたは小さな歯を見せて笑い、光のなかへ戻っていった。
歯磨きしたけれど、けんたがうらやましい、などという気持ちは無くなっていた。
2022年2月1日 改訂




