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夢幻回廊

暗い。何も見えない。ここはどこだ。たしか私はアストラ山の洞窟に入ったはず。なのに入口の光もない。ただただ闇だけが私を包んで無限に続いてる。私は石であるかもわからないものを拾って投げた。

コツッ。

『痛い』

闇の中から何者かの声がした。

私は驚いて尻もちをついた。

『怖がらなくてもいい。怖いのは私も同じだ。』

どうやら闇の先の相手も同じ状況に置かれている人間であることがわかり、少し落ち着いた。

『ここは何だ?入ってきたはずの入口もないし、光もない、まさに人の恐怖の対象そのものだが。』

『ああ、そうさ。ここは並の人間が来れる場所じゃあない。五感を超えた第六感を持つ超越者しか辿り着けない場所らしい。洞窟なんかじゃあない。もっと恐ろしいもんだ。ここには何も無い。それは我々が最も恐れることだ。光のない世界なんて想像できないだろう。我々は普段、光があることで、何も無い空間を殺している。光は全てを生む。あんたの容姿、行動、時流、そして生だ。』

『超越者?私はそんな力を自覚した覚えはないが...。その第6感っていうのはどういう能力なんだい?』

『具体的なことはわからない。ただ、この世の常識から外れた『異種』を感じ取ることができる。』

『異種?』

『ああ、そいつらの形は様々だ。空間、物質、生物、そして神。』

『あんたはそれを見たことがあるのかい?』

『ああ。私は超越者が異種と交流することでこの世の真実に辿り着くことができるという言い伝えを信じ、世界各地を歩いてこの世のものとは思えないようなものを幾度となく見てきた。そして、最終的に辿り着いたのがこの闇さ。ここには私しかいなかった。だがどういうわけかお前さんがここに来た。』

『私も何故来たのかわからない。それに、異種なんてものは見たことがない。』

『お前さんが今目にしているのも異種だ。そこに人間の姿の頃の私はいない。何故なら、私自身が異種に取り込まれ、暗闇そのものになったからだ。』

『では、私も取り込まれるのか?』

『ああ、だが完全に暗闇になるには時間がかかる。その前に、お前さんの次にくる超越者に伝えるための物語をお前さんに教えなければならない。私の命もそう長くはないのでな。』

『よくわからないが、私ももう元の世界には帰られないのだし、あんたの言葉に従うよ。』

『ありがとう。では、これから伝えることを話す。今から話すのは私が見てきた異種の話、全て私が体験したことだ。』

・用語解説


異種・・・この世界のどこかに居るという未知の存在。姿、形は様々で、時に空間・物質・生物・神として超越者の前に姿を現す。


超越者・・・生まれつき異種を可視化できる能力を持つ者の総称。特別な邪魂というものを持っていると言われている。


夢幻回廊・・・超越者が旅の果てに辿り着くと言われている異種。どういうわけか、これに取り込まれたものは、暗闇そのものになり、それが何のためであるかはわからない。


アストラ山・・・霊気が山中に漂っていると言われている山。異種も多く潜んでおり、超越者は皆ここに引き寄せられるのだという。

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